リハビリテーション新聞: トップダウンアプローチのリハビリテーション

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トップダウンアプローチのリハビリテーション




多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、最新技術に興味を持ち、それで何かを得ようとする。目的は、後付けだ。しかし、そんなことでは手段に翻弄されてしまう。本末転倒になってしまうのだ。それでは、我々にとって大切なことはなんだろう。実は、それは患者の中にある。


この業界で最新技術といえば、カリスマ講師の手技、三次元動作解析装置、多関節運動連鎖やMSIなどをもとにした動作分析、脳科学の分野などだ。研究するにあたってこれらは非常に興味深い。



最新技術は、いままで救えなかった症例や、再現性の低かった治療の改善に役立つ。しかし、それを回復期の患者に当てはめると狂ってしまう。メインを疎かに重箱の隅を、つついているようなものだ。



60歳代。橈骨遠位端骨折でギプス固定中の患者がいたとする。患者の訴えは「肩こり」だ。それをまに受けて、広義の肩関節の機能やアライメント、座圧、足圧中心を追求してしまう。案の定、指は硬くなる。



90歳代で大腿骨頚部骨折の患者がいたとする。もとは移動と排泄と食事のみ自立。そのような患者を離床させず、深部体幹機能の運動学習ばかりを追求してしまう。案の定、ADLはあがってこない。



手段ありきではわけがわからなくなる。リハビリテーションを受ける側も、する側もわけがわからない。もはや、実践ではなく実験になってしまう。そのまま勝手なモノサシでの介入がはじまる。論点が、すり替えられてしまうのだ。



本当の問題は、患者の生活の中にある。それなのに、技術ありきで問題提起をしてしまう。存在しない問題が主役になってしまう。不毛なことだ。



患者の生活の中から問題を提起して、自分がもっているカードの中から解決手段を提供する。「私はベッドからポータブルトイレに乗り移る為に必要なカードを沢山もっている。」このような各分野の専門家が集まれば最高だ。



問題解決の経験を繰り返して、手持ちのカードを増やすべき。他人のカードばかりを集めて、ながめているだけでは問題点は解決しない。



以上、
問題解決のコツは、手段ありきの目的よりも、目的ありきの手段。でした。


H24.4.27

<皆さまとの意見交換>


@kaho_pi 確かにその通りですね。2年目になり、足りない技術ばかりに目が向いてしまい、根本的な患者さんの問題点から遠ざかっていたかもしれません…今日からまた気持ちを入れ替えて頑張ります!
@2008pt  もしも、自分の家族がリハビリテーションを受けるなら。ですね。

@na___to OT1年目です。先輩の見学をしていると「知らないことを知る」ことばかり楽しんでしまい、「患者様を評価する」という、臨床実習でできていたことができなくなっていました。もう一度、自分が誰のために何をするのか、初心を振り返ります。
@2008pt  ご一緒します。

@RPT_kenchiro 目的と手段が入れ替わると不幸になりますよね・・・ 臨床ではよく見かけますが・・・
@2008pt  ごもっともです。上位概念が変わらぬまま下位を考えても迷走するだけです。

@calcio17puma: 「目的ありきの手段だ!手段ありきでは論点がない。」共感もてました!なんかすごい考えさせられました!!
@2008pt はい。目的だと思っていたことが手段だったりします。まずは世界観を定めるべきです。

@anosnaff: 時に手段が目的に変わってしまうことって多い。
@2008pt はい。世界観を定めなければ、矛盾が生じます。私見では、自立を目指しながらも依存の世界観に住んでいる人が多すぎます。

@kamiyaoya:  いつも読んで回復期にいる人間としてはっとします。自分もカード増やしていきたいですね。
@2008pt 私もです!

@thinkable77 その様な介入をするセラピストって新人くらいじゃないですかね?周りがすぐサポートしたり、他部所や家族からクレームがきそうですが
@2008pt  極端な例をあげました。新人さんに多いですが、ベテランにも多い要素です。少なくとも私の知る範囲では
@thinkable77: 技術や知識の問題よりもそのセラピストの評価スキルが乏しいのではないでしょうか?すぐれた技術を生み出せるにはすぐれた評価スキルが必須です。
@2008pt  百歩譲って高精度の評価をしても、生活を無視してしまっては不毛な問題提起ということです。
@thinkable77: 生活を含むのが高精度の評価と思うのですが。
@2008pt  はい。私の真意はそこです。技術、手技、手段ありきの評価では論点がありません。

@g0t0n0ri リハビリを生活の再構築とするならば、問題点は生活の動作・作業の中でピックアップし、対象者の生活歴、価値観、人生観etc. から優先順を共有すべき。対象者に対する意味ある作業meaningful taskの中で、impairment の改善していく視点が必要だろう。いろんな分野の知見・技術の収集も大事ですが、対象者との仮説検証のプロセスの中で臨床力を養っていかないといけない。すごいセラピストの仮説検証を聞き、理解でき満足するのでなく、実際、自分で仮説検証できるところまで、知見・技術を掘り下げる必要がありますね。
@rikapon0301: 患者さんの年齢や前がどのような生活を送っていたかによってどこを優先して訓練するのか変わるのですね。勉強になりました。
@2008pt はい。気をつけないと本末転倒になります。だから踏ん張っています。国民の為の政治が、政治の為の政治になるのと一緒です。
@shinyatsutsumi: 自分は老健PTです。問題点を見つけるためにワーカーさんと一緒に食事介助したりトイレや風呂介助をしてます。ワーカーさんに介助指導も出来て一石二鳥なんです。これアリですか?
 @2008pt問題解決するならアリです。ただ、指導はまずいかと。
@yoshikawashouta  私もそう思います。やっぱり、「本人が何を大事にしているのか」その上で理学療法士として「全体の評価」
@2008pt はい。わざわざ言うのは、現状に問題を感じているからです