リハビリテーション新聞: リハビリテーション科ができる退院支援とは

ページ

リハビリテーション科ができる退院支援とは





期限がきました。退院して下さい。さようなら」 こんなことでは、入院患者は「追い出された」 と感じるだろう。 私は、まさにこの問題に直面していた。 どんなに頑張って理学療法を提供しても”退院”に直面したときに救えなかった症例が数多くある。そう。理学療法だけではリハビリテーションにならないのだ。



それから、患者と病院の双方が報われる活動とはなにか。自問自答した。答え退院後の生活に向き合うことだった。それからというもの以前の生活の評価や、家屋環境調査(退院前訪問指導料555点)を積極的におこなった。



私のやっている、退院支援のプロセスを紹介する。まずは、「以前の患者の生活を知る」 ことからはじまる。次に、「現実とのギャップを埋めるために様々サービスを提供する」。退院前になると、ある程度、ギャップが埋まっている。「埋まらないギャップは代償して退院してもらう」 というプロセスだ。


このプロセスのなかで、一番難しいのは、最初の「患者の生活を知る」という部分だ。どういうことなのか、例を交えて解説していく。


食事中に転落した患者が「イスに座って食事をしていた」と言う。「ああそうですか」と、スルーしてしまうことが多い。しかし、これは重要なヒントなのだ。実際の生活現場をみると、イスの座面に”3枚重ね”の座布団があった。理由を聞くと、配膳が大変だから高いキッチンシンクで食事をしたかったとのことだ。


自宅廊下で転倒した患者が「いつもは裸足。正装で靴下をはいていたの滑った。」と言う。「ああそうですか」と、スルーしてしまうことが多い。実際に、現場を見にいっても普通の廊下だった。しかし、後になって、猫の毛で足元環境が最悪だったことが判明した。見落としてしまったのは、誰かが掃除した後だったからだ。




このように、予想外で目玉が飛び出るような生活が存在する。これらの情報をなるべく集めるようにしている。そうすることで、はじめて目標設定ができる。そして、退院前の目標の達成度をもとに、「できる・できない・補う」を明確にしている。


ただ、失敗を繰り返した過去がある。その代表的なものは、「最小限の介護サービス」を実現することが成果だと思っていたことだ。こんなひとりよがりな成果を求めていると、当然失敗する。24時間の生活を網羅することは無理なのだ。退院後に、思ってもみなかった問題が次々に発生する。そのような問題に向き合い、思考錯誤の末、次のプロセスに落ち着いた。


 「成果は動けることではなく安心。不安なことは「不可」と言って経過観察。保険をかけて、あえて過剰な代償を提案。本人と家族がケアマネージャーと相談しながら徐々に代償を減らす。患者、家族が安心させつつ、介護業界の雇用をうむ。」


さぁ、
退院後の生活をモニタリングしよう。 退院後の生活に関わろう。退院後の生活に口をだそう。これらの活動をしていれば、退院支援は上達していくだろう。ちなみに、私の職場では、”退院支援計画書”はリハビリテーション科が作成している。


以上、退院支援を看護師ばかりに任せずに、リハビリテーション科も参画しよう。でした。



H24.4.24

<皆さまの意見>



@lopeslopeslopes 以前にPTが中心になって退院支援。私もそのようにしたところスムースな連携が行え良好な手ごたえを得た例がありました
@snoopydream  追い出されるような退院表現は気持ちが縮こまります。 
@2008pt編集後記 患者の生活を成り立たせようとするリハビリテーション科の情報には価値があります。どんどん発信しましょう。当事者になりましょう。