リハビリテーション新聞: リハビリテーションを受ける理由をつくろう

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リハビリテーションを受ける理由をつくろう





「質問です。実習中に、患者さんから 『早く帰りたい。リハビリつらい。』 と言われた時にどう返せばいいですか?」 先日、作業療法士の学生さんがこのような質問してくれた。 今回はこの話をしようと思う。



私が学生の頃の話からする。私は指導者に何度も質問した。「今の運動は何の為にするのですか?この患者さんは何の為に理学療法をするのですか?何の為にリハビリテーションをするのですか?」しかし、返ってきた答えは全て"手段の解説"に過ぎなかった。



私は理学療法やリハビリテーションの目的がわからないでいた。悩み苦しんだ実習だった。そして、答えがでないまま免許をとり、仕事を始めた。一年ごとに、動作分析、EBM、退院支援、多職連携、地域連携に熱中した。



そして学生の頃からの疑問に答えがでた。「問題提起なき介入は論点なき介入。」ということだ。そもそも、世の中の仕事は"良質な問題提起"をすることで生まれる。評価は問題提起をするためにあり、解決手段の提供とセットだ。例を出す。



良い問題提起「床下にシロアリがいます。息子さんの学力では○○高校は困難です。その服ではダサいです。」こういわれると解決すべき問題と解決案がわかりやすい。煽られ、火が付き、サービスを受けたくなる。仕事がうまれる



悪い問題提起「あなたの家はダメです。あなたの息子はダメです。あなたは不潔です。」こんな問題提起をされても「だから何?バカにしているのか!」と思われるのがオチだ。消費者にはなり得ない。



経験の浅いリハビリテーション専門職も同様の失言をする。「このままでは退院できません。今のままではダメです。もうちょっと頑張りましょう。」はっきりいって何の問題提起にもなっていない。私が患者だったら逃げたくなる。



そして、タチが悪いのが押し売りだ。例えば音響の卓越性を求める人にとって粗悪なイヤホンは大問題だ。そこで何十万円もするような機器を買って問題を解決する。これをまったく興味のない人に押し売りするのが仕事だと思っている人が後を絶たない。私が客だったら逃げたくなる。



経験の浅いリハビリテーション専門職も同様の押し売りをする。「骨盤の右回旋がたりません。筋緊張が問題です。床反力が外に逃げています。深部筋が弱いです。」これでは独りよがりな問題提起だ。患者の生活が見えていない。私が患者だったら・・・。



さぁ答えを言う。「目的を知ろう。以前の生活を知ろう。現在問題となっている生活を知ろう。どの不便が尊厳を奪っているのか知ろう。代償の為に家屋環境や社会背景を知ろう。上記をもとにして具体的な問題提起をしよう。ここまでしてはじめてリハビリテーションを受ける理由ができる。」



セラピストが分からずして、なぜ患者がわかる。指導者がわからずして、なぜ実習生がわかる。セラピストが退院支援に関わらずして、なぜ退院後の生活に責任が持てる。おっと問題提起をしすぎた。今回はこの辺で。



以上、目的がわからぬまま手段に翻弄されていると、相手にソッポを向かれる。でした。



H24.9.28

<皆さまとの情報交換>




@kuchihaha とても面白く共感するところ多々ありました。なるほど、なるほど!!
@2008pt なるほどが二回もあるなんて最高の褒め方をされました。
@smp_omega その方の生活場面に適合した支援が必要だと考えます。
@2008pt  はい。「患者の生活が第一」ですね。
@minarun18 読むほどに深いです。そして納得。参考にします。ありがとうございます!
@2008pt  よかったです。一連のプロセスを体験あるのみ。できないうちは指導者に目的をはっきりさせてもらうしかありません。
@happyosisi  なるほどと思える内容で、ケアマネになった時に参考になります。いつもありがとうございます。
@2008pt  光栄に思います。
@quruquru8 キムラさんの思う医療従事者としてのコミュニケーションとはどのようなものですか?突然すみません
@2008pt  支援あるのみです。詳しくは"あなたの支援は偽物かもしれない"を参照下さい。
@smp_omegaその方の生活場面に適合した支援が必要だと考えます。ただ「家に帰る為に頑張りましょう」ではなく「家に帰って何をするのか」という具体的かつわかりやすいビジョンを掲げるべきでしょう。その方にあった個別援助、個人の尊厳を重視するべきだと思います。どうしてリハビリをするのか、その方が持っている「希望」を叶える為ではないかと思います。ただ可能不可能の問題が生じる場合があります。受容を促すのも専門職の仕事ですが、あくまでその方の自己実現の為に力を注ぐのが我々の使命ではないでしょうか。
@yagi_masa0612  目標設定の大切さをすごく感じてるので、反応してみました(^^)
@2008pt そうなんです。現場で退院支援をしていると、目標がすごく大事になります。退院時には結論がいるんです。うちで失敗=再入院でした。目標の下方修正能力が問われます。
@yagi_masa0612 生活の問題から目標を決めるときに、押し売りではなく必要と思われる理学療法士の知識を合わせて、患者さんと共有できると良いと最近感じてます。それなしに、機能がーとか生活がーは押し付けだと。また見学行かせてください。
@2008pt そうです。シームレスであることが責任を持つ条件です。リハビリテーション担当者がリーダーシップをとって安全な生活を設計すべきなんです。