リハビリテーション新聞: 理学療法士から見える介護保険のダークな部分

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理学療法士から見える介護保険のダークな部分




「退院後の不安は、お風呂や階段。手すりが欲しい。」 このような問題に対して、退院前訪問指導555点という診療報酬を活用して家屋調査にでかけている。私の頻度は、月に約3件だ。メンバーは、本人、家族、ケアマネージャー、住宅改修業者、福祉用具業者、そして私だ。



家屋改修にはものスゴイ助成制度がある。介護保険で20万円。そして私の職場のある広島市には “高齢者住宅改造費補助” 80万円だ。利用者の負担は収入によって多少あるが、太すぎる助成だ。これが“諸悪の根源”だと言う話をする。



この助成を使えば、生活保護世帯は100万円の工事をして負担ゼロだ。少し収入がある世帯でも100万円の工事をして負担額34万円だ。実際は100万円も工事しないからもっと安い。今後の人生がかかっているような本質的な改修であれば出し惜しみはみられない。



しかし、本質的な改修というものは、ケアマネージャーや業者には難しいようだ。患者の現病歴や経過、現在の生活の不便などの情報がほぼない。だから一般論で話しをすすめる。押し売り臭がプンプンしてしまい、最小限の工事に留まってしまうことが多いという。



そこで救世主となるのがリハビリテーション担当者だ。患者からみれば、急性期から退院までADL改善を手伝ってくれた人の助言・問題提起ほど信頼できるものはない。そこでケアマネージャーは言う。「リハビリテーション担当者の同行を願う。」 悪く言えば利用される。



ここでポイントとなるのが、住宅改修の業者はだれが選ぶのか?ということだ。これは、患者希望がなければケアマネージャー指定になる。つまり、ケアマネージャーは住宅改修案件を業者にもっていくだけで、最大100万円の経済効果を生みだせる。これは介護サービス全般に言える。



このような構図で生まれるものは“癒着”だ。実際にダークサイドに落ちたケアマネージャーを何人も見てきた。このような介護ビジネスの中で、中立的立場をとれるのは“医療機関”だけになる。ただし、介護サービス事業を”持たない”医療機関に限る。



医療機関が介護サービス事業を持っているとどうなるのか。患者を抱え込み、とことん問題提起をして、限度額いっぱいまでサービスを提供することになる。善悪は置いといて、そうなる。この状態を“癒着”ではなく“マッチポンプ”という。



さぁ、これまで住宅改修にまつわる利害と、お金の話をしてきたが、言いたいことを3つ言って終わろうと思う。「リハビリテーション担当者は価値ある問題提起ができる立場にいる。」「問題提起すれば経済効果を生む。」「癒着しやすい環境と中立が保てる環境がある。」



以上、AEDレンタル月額1万円を、生活保護世帯に配っている現状に青ざめた。そう、この世は予算の取り合いだ。でした。



H24.10.28

<皆さまとの意見交換>




@miyakoACTKJOYS 衝撃のオチにザブトン5枚
@tatumanichi ここまで出来てこそ、本当に“リハビリ”だと思います。退院までの「やりっ放しのリハ」はその後のADLが下がる事が非常に多い。
@soshusan 住宅改修にいくらかけるか。京都では20万円までですが、「今、追加したいのに前に使ってしまっているからできない」が結構あります。
@2008pt はい。昔、押し売りされていると尻拭いが大変ですね。介護度が3上がったら20万円は初期化ですから備え過ぎ不要ですね。


@_run_run 興味深く読ませていただきました。ただ、訪問リハに携わってると回復期リハが退院時に提案した改修があまりに“使えない”ものが多くて20万円もったいなく使ってるなぁ…ということが多いです。回復期スタッフがリアルな在宅イメージがあまり無いというのはわかるのですが。
@2008pt  はい。急性期〜在宅を一貫担当しないと責任はボヤけます。問題提起するなら、在宅担当が回復期担当に責任をもって口出しするしかないと思います。
@_run_run: うちは回復期を持っていないところなので。依頼が来た時には改修終わってるんです。
@2008pt ありますね!でも、それに問題を感じるなら、紹介元を選んだり、紹介元を指導したり、紹介元に10万円は残して引き継いでもらい主体的に追加改修をすすめればヨイカモ?
@_run_run: 回復期PTにはその辺までイメージして教科書通りじゃない改修を提案して欲しい
@2008pt この会話もよいキッカケですね。でも、Twitterの世界以外でも回復期を指導して貰いたいです。お上から降ってくるものを黙って受け止め尻拭いするのはモッタイナイです。
@sakunom 福祉住環境コーディネーターの資格取得に向けての勉強もしています。やはりこういった場では、当たり前に誰かが持っている資格なのでしょうか?
@2008pt  多くの人が有資格者です。ただ、必須ではありません。受験は学習の機会となるだけです。