リハビリテーション新聞: リハビリテーションにおける課題の出し方

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リハビリテーションにおける課題の出し方




リハビリテーションを提供していて、よくつまずくのが”課題設定”だろう。アスリートに立位姿勢をとらせても問題は表出しないが、マラソンをさせると様々な所見が得られる。また、1kgのダンベルなら殆どのひとが挙上できるが、50kgとなると、そうはいかない。このように適切な課題をデザインすることで、問題点を再現することができ、また評価指標や適切な負荷課題にもなる。


課題といえば、学生の頃には宿題のことだと思っていた。いまでは、デザインのことばかりが浮んでしまう。デザインとは、アート(自己表現)ではなく、問題解決プロセスだ。理学療法の世界では「適切な判定・評価指標」にあたる。


いくつか例をあげる。座位姿勢で正しい筋収縮が得られるが立位姿勢ではダメ。こんな回復期の患者にふさわしい課題をデザインする。私なら次のものを色々試す。四つ這い、膝立ち、立位姿勢での両手支持、壁に手を添える、杖の高さ変更。


背もたれのあるイスに座って20分間の食事ができるが背もたれをなくすと2分が限界。こんな回復期の患者にふさわしい課題をデザインする。私なら次のものを色々試す。肘おき、円座、浅く座る、イスを後ろへずらす、座面高-5cm、机の高さ+10cm、コルセット。


玄関の階段をスロープに工事すれば祖父の車椅子外出が可能だが、スロープが苦手な祖母の外出を制限してしまう。こんな家屋改修の案件で、ふさわしい環境をデザインする。私なら次のものを色々試す。ポータブルスロープ、祖母用の手すり、半分階段半分スロープ、勝手口や庭の玄関化。


これらの例からわかるように、個別ニーズを満たすためには微調整という名のオーダーメイドがほとんどだ。これができる商品やサービスはユニバーサルデザインといってもいい。杖で例えて言えば、高さと重さの調整やパーツ交換ができることだ。


集団ニーズだけを満たす妥協でいっぱいのものはユニバーサルデザインとは言わない。階段を無くして100mスロープだけにしても、皆は目的を達成するだろう。しかし、気が遠くなる。皆ができることが適切とは限らない。


優れたデザインや判定指標は、最短距離で目的を達成させる。一方で、退屈なデザインは人を成長させず、難解なデザインは成功体験をうまない。本当のユニバーサルデザインには幅があるのだ。それは使う人を選ぶということだ。


リハビリテーションの概念は、ユニバーサルデザインといっていい。我々は、退屈な課題や難解な課題を振り切って、適切な課題を選ぶことができる立場にある。リハビリテーションは、人生をデザインする仕事。


以上、甘えさせないが過負担にもならない。アナタにもそんな絶妙の課題が設定できる。だって、イチバン関わっているでしょう。でした。


H24.5.19

<皆さまとの情報交換>
@kanaderuhito 面白かったです^^特にユニバーサルデザインのくだりは考えさせられました。
@2008pt ユニバーサルデザインの本質はここですね!
@I4kwa 私も足に障がいを持つ者として、街には健常者視点のユニバーサルデザインばかりが溢れてるなぁと感じます。当の障がい者には使いものにならないってのが結構あります。まぁ、欲を言えばきりないですけどね…f^_^;)
@2008pt 福祉用具専門の作業療法士の方からそう言ってもらえることを光栄に思います。
@kenmoto0716 出来るようになりたいです。頑張ります。考えること無限ですね。
@M_cGuffin いつも熱心なツイートに感じ入っています…。貴殿のような方が数多く増えれば,介護の質も向上するだろうなといつも思ってます――勿論、自分もそのための一員だという自覚を忘れずに…。出来ることから一歩ずつ…。”