リハビリテーション新聞: 「好影響」は起きるんじゃない。起こすのだ。

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「好影響」は起きるんじゃない。起こすのだ。


協同企画:の記事 25.2.18

ごく自然にありふれていること。役割という大層な話しではなくて、利用者の自然的な活動をセラピストが認識するということ。テーブルにお茶がこぼれていた時に、自然的に利用者がティッシュを取り出して、テーブルを拭くという行為を眼にした時に、多くのセラピストはそれを見過ごしてしまう


テーブルにお茶がこぼれていて、それを認識して、何とかして主体的に清潔を保持しようとするその素晴らしい財産を、多くのセラピストは資源と認識していない。主体的な活動の種は、それを資源と認識する他者がいなければ、一時的な手作業としてすぐに埋れてしまう。セラピストの仕事は認識することだ。


その人の自然的な行為を認識する。そしてその行為を承認する。感謝の言葉を伝えて、その素晴らしさを利用者に説く。そして利用者と協議をしながら、いかにしてそれが習慣化できるのかを考える。『テーブルには台布巾が置いてないから、テーブルを拭くには不
便なのよ。ティッシュでは拭きづらいわ…』



『そうだね。スタッフが何でもやりますというスタンスが、かえって利用者の不便を招いているんですね。大変に勉強になります。ところで、テーブルに台布巾があれば、毎日テーブルを拭いてくれますか?』 『もちろんよ!それくらいなら私にも出来るし、張り合いが生まれて良いわよ!』


利用者の自然的な行為を認識すること。そこに肯定的な解釈を伝えて、継続性をもたらすためにはどのようにしたら良いのかを、利用者と協議するということ。行為と役割の決定的な違いは、行為そのものではなくて、継続性である。だから継続性を促すための協議を、利用者と進める必要がある。



利用者が継続性を保持できる環境を整えた後には、その中身を洗練していく。『いつもありがとう。貴方がテーブルを拭く役割を担ってくれてから、いつも清潔で気持ちが良いね。ところで、座ってテーブルを拭くよりは、立ち上がって拭いた方がやり易そうだけど、どうでしょう?』


『言われてみるとそうね。座っていると奥の方が拭けないから困っていたよ。立ち上がるのが少し怖いから、はじめのうちは見守ってくれる?』『もちろんですよ!』利用者との協議によって、利用者とセラピストの双方が発展していく。彼女が変わることによって、周囲の利用者が変わる


そして彼女の努力が、周囲の利用者にどのような肯定的変化をもたらしているのかを説明する。そうすると、彼女は周囲の利用者に視線が向くようになる。他の利用者がテーブルを拭こうとしている時に、それを温かく見守りながら、『凄いじゃない!』と褒めるようになる。新たなセラピストの誕生だ。


まずは利用者の自然的行為を認識すること。そしてそれを意図的に承認すること。そして継続性をもたらす方法を利用者と協議すること。ある程度の形が整ってきたら、その内容を洗練していくこと。そして彼女が周囲に与える肯定的な変化を改めて説明して、他者への関心を促していくこと。


こうして、彼女が他者に対する支援者としての役割を担っていく。彼女が変わることによって、彼女の周囲が変わる。そしてやがては、利用者相互が声を掛け合い、支え合って、コミュニティが利用者の主体的な活動によって成立する文化が形成される。


この時に、もはやセラピストが利用者に対して何を為すべきかを提示する支援関係は逆転して、利用者が私たちに対して、何を為すべきなのかを指し示すようになるのだ。



<皆さまとの意見交換>

2008pt編集後記  我々ばかりが役割りをもらって、手足を動かしている。我々の仕事がどんどんうまれる。こんなことでは患者の主体性はなくなり、依存がうまれてしまう。だから、患者を巻き込まなければならない。よーく話をきいて、やりたいことができるように手配する。将来につながる小さな一歩を提供する。我々の仕事なんてそんなものだ。  <記事 ひとりよがりなリハビリテーションを提供する度に反省すること より>