リハビリテーション新聞: 「資源」を「ゴミ」と認識してしまう悲劇

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「資源」を「ゴミ」と認識してしまう悲劇


協同企画:の記事 H25.3.7

昨日は松本さんとヒヤリハットの話しになって、自分の入所時代を思い出した。70名のフロアを3チーム性にして、そのひとつのチームを任されることになったのだけれど、当時の副主任と、いかなるチーム運営をするかについて、熱心に協議した。可能性を具現化すること。それがチームの理念になった。


スタッフは、施設のあり方の鏡だ。スタッフが利用者の主体性を尊重するためには、まずはスタッフ自身が、施設側から尊重されなければならない。自分に降りかかる境遇を、スタッフは利用者に返すからだ。そして自分は提案書という書類を作って、スタッフの気づきを書類に記入することを促した。



ある暑い日のこと。スタッフは『かき氷が食べたいね!』と、他愛もない話しをしていた。それは素晴らしい提案だと会話に入り込んで、その内容を提案書に記入するように促した。スタッフが書き終えると、自分は提案書を持って総務に行き、30分以内に購入してるように指示した。



『立ち上がらなければかき氷を作ることが難しい、手動のかき氷機を購入するように。便利すぎるものは駄目だ。』と、総務も眼を丸くしていたけれど、すぐに走ってくれた。かき氷器とシロップが到着するなり、すぐに利用者のテーブルに置いて、『さあ!やってみよう!』と促す。


利用者は初めは座って氷を削ろうとするのだけれど、かき氷器が動いて作業にならない。『立ち上がって、体重を掛けないと駄目だろうね。』とのさり気ない提案に、『その通りよね!』と、利用者は立ち上がって作業を始める。車椅子の利用者も、次々に立ち上がって作業をする。


しばらく経つと、テーブルに散らばる氷を、台布巾で拭き始める利用者が現れる。スタッフが声かけしているわけではないのに、不思議とシロップを掛ける役割を担う利用者が現れる。数日経つと、用者の中で、役割分担が生まれて、暑くなったらかき氷を作って、勝手に食べている


スタッフの分まで作ってくれて、労いの言葉を掛けてくれたりもする。『おい!今日はメロンか?』と利用者が言って、『今日はレモンの気分だ!』とスタッフが言う。まったくもって、どちらがスタッフか分からない(笑)


かき氷の話しはこのくらいにして、要するに、利用者の主体性をスタッフが尊重するためには、スタッフの気づきが尊重されて、具現化されなければならない。それは座学ではなくて、想いを具現化する実践教育が日常的になされなければならないのだ。そのために自分は提案書を作った。


そして、提案を書類にすることで、提案がどれだけ実践されているかについての振り返りを行い、スタッフの想いの具現化について、他職種や3役と交渉して、達成率を100%にすることがチーフの仕事だと設定した。そしてスタッフの想いは軒並み具現化されて、それに比例するように、利用者も変わった。


車椅子も次々に減って、歩行者への切り替えも進んだし、利用者の自立行為についても、驚く程に増えていった。これらの成果は、目に見える手法ではなくて、利用者の行為に対するスタッフの視点が変わったことによって生み出された。自らの想いが尊重されることで、利用者の想いを見守る術を学んだのだ。


何かを挑戦するためには、企画書を書かなければならないという文化にも噛み付いた。そう言う面倒な手順が、スタッフの提案を抑制するのだと、すべてが提案書の一本で手続きが完結するように当時の部長を説得した。スタッフは何がしたいのかを記入するだけで、物事は前進していく。


可能性の具現化について、スタッフも利用者も、一丸になれるチームを築いたあの頃の経験が、今の自分には素晴らしく貴重な財産になっている。眼の前の現実は、決して重苦しい扉ではなくて、それを塗り替えることは、実は容易いことなのだと、それを体感することが、可能性のを切り拓く原点だ。
 




<皆さまとの意見交換>

@ma5410  新規利用者を受け入れる時、まずリスクありきの思考でいると真っ先に自由を奪う。職員も自然と抑制的な態度をとってしまう。事前情報も大事だけど、自分たちの提供する目の前の環境におけるその人の在り方をありのまま、その場で情報収集しリスク管理するのが妥当ですよね。
@yuumata  ヒヤリハットは利用者の財産の宝庫だから、使い道を誤らないようにと、入所の時には良く言っていました。一人での立ち上がりなどは、その人の主体性の証明だから、ヒヤリハットが発生したら、すぐにそれを自立支援に繋げろと叫んでいました(笑)
@ma5410  優馬さんらしい発想すね!ただその通りで、特に立ち上がりだとか体動だとかって、大抵はその人の訴えの表れだったり、心が動いた瞬間なんですよね。物事の本質ですね!
@yuumata  いつも逆転の発想で、例えば車椅子からベットに一人で移乗したというヒヤリハットが上がってくる。3回も続いたら自立のサインだろうと、ヒヤリハットの主旨とかけ離れた使い道をしていましたよ(笑)
@hide_rock1979  そこからが私達介護職の腕の見せ所です!マイナスではなく、プラスに考えるんです。その方の意思を汲むんです!
@yuumata  立位不安定の利用者が一人で歩き出した場合には、ヒヤリハットではなくて、経過記録(2号用紙)に記入して、すぐにカンファレンスを開くべきですよね。そこに意欲があるのだから、事故防止ではなくて、自立支援として捉えるんです。
@ma5410  本気で歩いちゃそれこそ危険な人とそうでない人を見極めるのが根拠に基づく専門性にもなりますね。基本は車椅子の人が歩く=リスクではなく残存機能がそれだけあるって事がすべての考えの発端であるべきかと。その現状の共有とこれからのケアの為のカンファレンス。納得です!
@yuumata  さすがです!完璧です!
@ma5410  タイムリーでとある利用者のリスクの話が出ていて、その人は今度他ユニットから居室移動される方なんですが、元のユニットではその方が別の人の車椅子を好意のつもりで押して何度もケガさせてしまってるから気をつけろって言われたんです。いやいやっ!?…好意でやってる=世話好きなだけだろ、と。んじゃあうちでは何を手伝ってもらおうかな?と考えればいいのに。一部では車椅子には近づけるな、他人の胃瘻も抜去する可能性があるから気をつけろなどと。まるで歩く凶器みたいな言われようでw それも介護業界の現実なんだなぁと感じていたところだったんです。
@yuumata  怪我をしたのはどちらの利用者ですか?
@ma5410  相手の方です。その人にとってはテーブルまで押して連れてってあげた感覚だったようですが、テーブルに車椅子の方の手がぶつかってケガしてしまったようです。
@yuumata  町内には様々な仕事がありますね。運送業者の社長として、その人の名前を載せた名刺を作ってください。そして、松本さんの仕事から、その人に譲れる仕事を依頼してください!チャンスです!
@2008pt編集後記  興味は財産です。こどもが何かに興味をもったとき。「どんな環境を与えるべきか」考えますね。利用者も同じです。