リハビリテーション新聞: 問題は「問題提起」により問題となる

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問題は「問題提起」により問題となる



協同企画:の記事 H25.3.6

真空管からトランジスタへという言葉を聞いたことがある。トランジスタが発明されて、物事は劇的に変化したのだけれど、真空管とトランジスタは構造が異質なものであるから、どれだけ真空管を研究し尽くしたところで、トランジスタは生まれない


新たな変化を生み出すためには、既存のあり方を洗練するだけでは足りないことがある。いかなるシステムも、これ以上は進めないという限界点を持っている。その時には、勇気を奮い立たせて、それまでに縋っていたシステムを捨てなければならない。私たちにとって、今こそがその時なのだと思う。


どのように有力に見えても、手段は実に脆い。そしてあらゆるシステムは生もので、賞味期限がある。食材は調理に役立つけれど、腐敗した食材を大切に保管することに意味はない。勿体無いと思ってみたところで、それは人間の健全性に貢献はしてくれない。結末は食当たりを起こすだけだ。


多くのセラピストが、何か
しらの違和感を抱きながら過ごしている。それぞれが自らの内面で疼く違和感に向き合いながら、何かしらの挑戦を試みている。その挑戦は素晴らしいと思う。けれども、本当にその挑戦を継続することで、物事の根本的な課題は解決するのかを、改めて問いかける必要があるだろう。


私たちは、眼の前に起きている否定的な現象を改善するために、その真相究明を行わなければならない。それが個人的な態度やスキルにあるのであれば、それを身につけるために邁進するべきである。けれども、時として、個人的な努力ではどうにもならない課題にぶち当たることがある。


このような課題を、多くのセラピストは個人的な課題として捉えて、絶対に解決できない課題に挑んでは、失敗を繰り返して、やがては疲弊していく。その違和感は正しい。その意気込みは勇敢だ。けれども、挑み方を間違えれば、成果の伴わない疲労に倒れたり、題を無視する生き方だけが上達していく


個人の努力では負いきれない問題について、それを個人的に抱え込んではならない。けれども、それらの問題を無視することも懸命ではない。その両輪のバランスを保ちながら、上手く前進する唯一の方法は、叫ぶことだ。内面に疼く違和感と望みとを、外に向けて表現することだ。


そして個々の叫びを集める舞台を整えて、新たな時流を築くウネリを生み出すことだ。古臭い習慣に縛られない若い感性が、叫ぶべき足場を掴み取ることで、時代は確かに前進するだろう。頭の硬い連中では生み出せない革新的な構造の起爆剤は、いつも若い感性なんだ。


だからこそ集まろう。そして大胆に叫ぼう。その先に何が生み出されるかについて、今は知る必要はない。まずは集まり、叫ぶことだ。それによって、何かが生まれて、新たな時流が築かれることは歴史が証明している。だからそれを信じて、自分が新たな変化の主体になる意気込みで、大胆に表現しよう。






<皆さまとの意見交換>



@中川さん  まずは行動から、ですね。僕なりに考えて行動してみようと思います。今働いている老人介護施設では壁にぶち当たっていますそれでも行動していこうと思います!

@yuumatan  どんな壁ですか?

@中川さん  少し長くなりますが、よければみてください。今ある壁はキャリアの長いスタッフとの壁です。一例をあげますと歩く事に意欲的な利用者さんがいました。しかし歩くのは危険であり、声かけにより抑制されていました。そこで僕は他利用者の歩行器を借りて歩行練習をしてみました。すると歩行器を貸してくれて利用者や他の利用者が集まりその方の歩行を見に集まりました。順番に、他の方も練習したり集める人同士で話し合ってりされる姿を見て、これはいい、と思いました。認知症の方同士、強調的な作業をして見える事が今までなかったので。
申し送り時に、上記を述べると「そんな時間ないわよ」と一掃されました。危険だから抑制していたのでは?時間が問題?と言いたい気分でした。僕は週に一度のアルバイト時間だけで行っています。その利用者は現在トイレ自立となりましたが、半年近くかかりました。もっと皆でやれば、早かったものが。
 まだ学生であり、偉そうな事は言えません。なので行動で示そうと、僕のいる間に生活リハビリテーションを利用者さんに提供しているつもりです。申し送りでは毎回伝えます。若いスタッフは少しずつ僕に話しかけてくれる様になりました。しかし、キャリアの長いスタッフから陰口が聞こえます。そんな壁です。もっと皆さんでやりたいです。主体性を出せる環境を整えて行きたいです。上手く表現出来ず、一例を出しました。


@yuumatan  素晴らしいね。ところで、無理と言いながらも、中川くんがそれを実現したでしょ。それが何曜日の何時だったのかを整理してもらいたいんだよね。

@中川さん  本人の努力が大きかったです。ADLを変えられたのはその方だけでしたが、利用者間でのコミュニケーションが生まれました。僕がいくのは大体、日曜日です。時間帯は昼食後からおやつまでの時間か、おやつから夕食後までの時間で行ってました。お風呂や食事の担当してれば出来ないので、朝にでも時間を見つけて少しだけやっていました。


@yuumatan  中川先生!ベテランを変えることは難しいですね。ベテランを変えることはできないけれど、自分の請け負う仕事を変えることはできる。ここがミソだと思います。
①日曜日の夕方に、1時間程度の自分の時間を作る。(その点のみ他のスタッフの理解を得る)
②利用者に対して、中川先生が獲得した時間を、どのような内容にするべきかについて、利用者に会議を開いてもらう。
③利用者会議の結果を具現化する計画を立てる。
④人員の関係で、それが日曜にしかできないことを説明して、利用者の同意を得る。


物理的な限界があるのはどこも同じです。けれども、同様に利用者に対して制約を設けながらも、施設都合の制約と、利用者主体の制約の設け方があります。その違いはプロセスにあります。施設の状況を説明して、それに対して同意を得ること。その利用者を含めた合意と言うものが、利用者の主体性を尊重することになります。

利用者が相手の立場を理解して、相手と自分の立場に整合性をもたらせながら、主体的にルールを設定すること。そうした一連の振る舞いが可能な存在であることを信じること。

中川先生ならばできると思います。他のスタッフの否定的な態度に惑わされずに、利用者を信じてください



@中川さん  ありがとうございます!周りとの協調性を意識しすぎて僕自身を見れてませんでした。僕自身の行動を改めながら、僕の行う内容をしっかり表出していきます。実際、手に触れなくても会議と言った形で他の職員を巻き込む事も出来るのですね。あとはその当施設の制約を利用者さんに理解してもらいながら、僕はそれを信じながら、やっていこうと思います。先生、本当にありがとうございます!!