リハビリテーション新聞: 転倒事件は会議室でおきているんじゃない!

ページ

転倒事件は会議室でおきているんじゃない!



24年秋、医療安全ワークショップに参加した。しかし、私にとって、演者は反面教師でしかなかった。医療介護現場での一般的な転倒予防は問題だらけだ。一言でいうと「ベッドに縛り付けて転倒率を下げている。」


彼らの転倒予防システムは、官僚主導、中央集権型となっている。現場に裁量はない。息が詰まりそうだった。内容は「1.評価→2.対策→3.対策の共有・維持・更新→4.転倒発生率調査→5.仕組みの見直し。」さぁ順にみていこう。


まずは「1.評価」だ。検者によって差がでないようにチェックシートになっている。項目を挙げると「ナースコールが押せない、認知症がある、めまいがある、睡眠薬や安定剤を服用...」といったものが並ぶ。ここまでは、まだいい


次に、問題の「2.対策」だ。なんと !!! 1.評価の結果によって自動的にきまってしまう。例えば、対策A「移動時に看護師を呼ぶように説明」、対策B「センサーコール、ベッド柵」、対策C「胴抑制」といった具合だ。私はこれを聞いて、演者を反面教師だと定めた。


そして「3.対策の共有・維持・更新」だ。対策実施中に起きる問題「全職員で対策を共有できない、対策スイッチを入れ忘れる、一度定まった対策が更新されず延々と続く。」などがある。これを解決するために、対策本部が机上でアイデアを出す。その殆どが、張り紙と現場への懲罰だった。


最後に「4.転倒発生率調査→5.仕組み(1〜3)の見直し。」だ。これはもう不毛すぎた。対策本部の頭には「さらに転倒を減らす仕組みは?現場にルールを守らせるには?」だけしかない。そう、"転倒発生率"だけをモノサシにして、仕組みを見直すのだ。


彼らは、権威ある組織からの"安全基準の称号"をもらうために頑張っていた。患者の為に!は建前だ。私が、現場に居たらこう叫ぶ。「事件は現場でおきているんだ!裁量を中央で抱えこむな!」


幸い、私の職場は、現場に裁量がある。現場主導のADL設定、環境設定そのものが転倒対策となっている。設定を全職員で共有することで、リハビリテーションの成果をはかる尺度にもなっている。だから獲得した能力に応じて設定を更新する仕組みもある。この仕組みづくりには苦労した。


毎日、多くのADLの設定変更が行われる。1ヶ月の入院期間中に、10回以上の変更は当たり前だ。なんといっても、院長が設定変更の報告を求めているのだから心強い。それだけを追求すれば「患者の生活」が改善される最高の尺度を、皆でつかっている。この時、称号も関節可動域も各論だ。


以上、多職種で共有できるモノサシがあれば、各職は腐ったモノサシを捨てる。これはチーム医療の基盤のひとつ。


H25.2.26

<皆さまとの意見交換>

@hide_rock1979  素晴らしいツイありがとうございました。現場が主導にならないといけないですよね!うちも現場を尊重してもらえるので常に議論と実践と評価を繰り返しています。
@2008pt   やはりお目が高い。よくわかってらっしゃる。裁量を抱え込んではダメですね。リハビリテーションも介護も。