リハビリテーション新聞: 褒めるだけで成果がでるんじゃない

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褒めるだけで成果がでるんじゃない


医療介護業界の皆さま。私たちは、声かけひとつで、利用者・患者に大きな影響を与えられる立場にいる。これは想像に難しくない。しかし、どんな声かけが良いのかわからない方は多い。私もわからなかった。今はわかる。そんな話をする。


声かけで好影響を与えるためには、まず、理想を定めなければならない。理想につながる行動が起きた時、褒美を与える。そしてその行動を育て、増やしていく。動物に芸を仕込む時と同じ方法だ。学生時代の臨床心理学で、これを "正の強化" と呼ぶことを知った。


この正の強化は、非常に強力だ。ただ、使いこなすには情報が必要になる。それは3つ、1.理想、2.課題、3.変化への報酬だ。プロサッカー選手なら1.勝て!2.高パフォーマンス3.賞賛だ。全てが有機的になされなければ正の強化は使えない。例を出す。


100歳女性。目標は食事、トイレ、歩行器歩行の自立。寝たきり傾向から脱却したかった。ある日、化粧をした。きたっ!と思った。「綺麗だ!100歳の肌じゃない!上品だ!」褒めちぎった。以後、毎日、座って化粧をしている。目の上をセクシーな青色に塗って廊下散歩まではじめた。


腰椎圧迫骨折80歳代女性。起立時に骨盤が右傾斜して左腰部痛あり乗車困難。趣味は折り紙。そこで、折り紙をするときの姿勢に課題をだした。左坐骨荷重、腰椎左凸の座位だ。その反応も折り紙も褒め続けた。高さ52cm以下の座面から立てなかった彼女は20cmから立てるようになった。


彼女は入院当初から折り紙に没頭していた。私が彼女の作品を褒めると、プレゼントしてくれた。それをわが娘に届けて、楽しく遊んでいる写真を撮ってお礼をした。その後は素晴らしい時間が流れた。他の患者を巻き込んで、朝から晩まで折り紙教室が始まった。おかげで病棟が折り紙だらけになった。


その写真は、入院当初から退院まで、彼女のベッドサイドにあった。彼女は私の娘の写真を活用して、皆を巻き込んだ。彼女から指導をうけた他の患者も、私や他の職員に作品をくれるようになった。もちろん褒めちぎる。そしてその作業を利用して成果をだせた。あぁ、なんて素晴らしいんだろう。


この話をするとサブ担当の理学療法士さんが言った。「何がどう影響するかわかりませんね。」いいや、狙った通りだ。私がつくりたかったのは役割りと主体性。これは、与えるものではなく、育てるものだと思っている。育てば果実を収穫できる。作業を利用した課題の負荷調整はやりたい放題だ。


していることを利用して「できない」ことを「できる」ようにするんだ。突拍子もない作業を与えるんじゃない。すでに得られた作業を意味ある作業にするんだ。これをチームでおこなえばどうなるかって?利用者を次の次元に誘う最強チームになるにきまっている。


以上、褒めれば成果がでるんじゃない。狙った成果をだすために褒めるんだ。


H25.3.2

<皆さまとの意見交換>


@kurumihoeru11   すごいこころにきました! 出きることをしているにするというのはこういうことなんですね! それを狙ってやるのですね! 正の強化について最近講義を受けた学生です
@2008pt   私を賞賛してくれましたね。私の行動がかわります。正の強化をありがとうございます。まさに聞き上手は話上手です。 そうです。「している」を利用して「できない」を「できる」にするんです。それをもう一段上の「している」にしてまた利用するんです。  
 
@1227aphi  出来るのが素晴らしい。私もそんな存在になりたいです


@2008pt   反応がおきるであろう課題を出す。しかもその検査結果は共有します。すると「できた!」の成功体験・感動を提供できます。とにかく簡単な課題を出し続けるんです。
 

@yuumatan  まさにその通りです。さすがですね!木村さん!
 
@2008pt   優馬さんは私を調教しすぎです。どんどん吸い込まれます。患者が私によく言われますよ。「褒めすぎだ!(ニヤニヤ)」と。でも、お世辞じゃないんです。患者はニヤけちゃんうんですね。褒める条件をすべて整えているからわざとらしくならないんです。 
@yuumatan  トンデモない(笑)介入以前のその人の自然的行為を認識する。そしてそれに肯定的評価を加えていく。それに触発されてさらに発展していく。それができるのは一流だけです!