リハビリテーション新聞: 退院後の生活を知った衝撃

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退院後の生活を知った衝撃



協同企画: @Makoto_ATOM の記事 H25.4.19



さてこの度,回復期でのリハビリを担当していた方が自宅に退院し,当法人の訪問リハビリが開始されました.本日の記録は,訪問リハの担当者から現状を聞かされて感じたお話です.





まず初めに,家屋評価を実際に訪問して行ったにも関わらず,実際の改修が大きく変わっていた,という事です.それがないと動線を確保できない手すりがなかったり,削るはずだった敷居がそのままだったり.



何故ここに改修が必要なのか,福祉用具がいるのかを説明することを徹底しないといけないんですね.以下,想定と現実のギャップの記録です.


手すり歩行でトイレまでの動線を確保するのに要だった,床と天井を突っ張って設置するタイプの縦手すりとそこにくっつくサークル形の手すりがありませんでした.聞くと,「車いすで移動するのに通りにくいから」と.


家屋訪問時は寝室とトイレの動線のことばかりを考えて,その時は関連職種みんなで知恵を出し合って決めたはずでした...敷居の撤去ができなかったのは,業者の下見の時に,敷居の下にタイルが張ってある事が発覚したからでした.


結果,寝室から廊下・トイレまでが全てフラットになる予定だったのが,トイレの出入り口に5cmの段差が残り,スロープになっていました.トイレ内は底上げ案もあったはずだったけど,施行されていませんでした


また当初の予定では,ベッドからトイレまで,なんとか張り巡らした手すりを使用して行くという想定でした.4点杖も実用レベルでしたが,少しでも家族の負担を減らせられるようにと,多少ばらつきはあるものの動線は全て手すりを設置する予定だったんです


しかし高次脳機能障がいのある方に,手すりを使って前向きになったり横向きになったりという歩き方の変化は難しいとのことでした.病棟では前歩きも横歩きも,どちらも日頃から練習していた事でした.だからその混乱は正直予想外でした...


上記の通り,4点杖という移動手段を確保しながらも,家族の負担を考慮した改修案でしたが,多くの部分で改修が活かされない結果となってしまいました.訪問リハビリのフォローがなければそれに気付くことも,追加改修も考えなかった事でしょう.


今回の話で,ケアマネや業者,特に家族に対して,患者さんの状況と改修の意図をきちんと理解していただく必要があったと思いました.どんな動きが難しいのか,改修すべき理由はなんなのか,代替手段はあるのか.訪問時のその場のやり取りだけでは十分ではないのかもしれない.


もし業者による見積もりの段階で変更があるなら教えてほしかった.なんて,他人任せですね.訪問の担当者から教えていただいて,そんな後悔ばかりが思いを巡りました.


改めてボクたちは「治せる」事の他にも「帰せる」セラピストである事を目指さなくてはいけないと感じました.患者・家族の目線に立ち,退院後の安心・安全な生活を一緒に考えよう!回復期で1年過ごし,まだまだ己の浅はかさを痛感した事例でした.



さて,今年度から回復期では,家屋評価・家屋改修の振り返り共有会が始まります.この共有会はとても有意義になるような気がします.今回のケースは,その第1回目で発表します.


ボクは,家屋改修はある程度の経験値がないと,適切な対応は難しいと思います.対応というのは,家屋を対象にしているだけではなく,家族・関連職種も含んでいます


訪問リハの経験や福祉用具の知識,関連職種との連携,家族への伝達などです.この経験を積む事は,回復期でより実践されやすいと考えると,学ぶべきポイントになるのではないでしょうか.つまり,教育のテーマになってくると思います.




<皆さまとの情報交換>
@2008pt編集後記  私もなんども経験しました。すごくあるある話です。福祉用具・改修について一番詳しいのは業者さんです。目的さえ伝えれば、思うように改修してくれる業者さんばかりです。価値ある情報は「目的」です。目的は1つ。手段は無限大です。