リハビリテーション新聞: 介護士が向き合うべきもの

ページ

介護士が向き合うべきもの



定員が40名のフロアで、2チームを編成して、小規模のチームケアへの転換を試みている施設がある。入浴での衣類準備やその他の様々な業務が分けられて、各チームがそれぞれに分担するようになった。それにより、自分たちはチームケアについて進化してきていると自負している。


はたしてその自負は妥当だろうか?スタッフは様々な業務が半分になったから効率化が図られて楽になったと喜んでいる。けれども、それまでに一人で行っていた業務に、二人の人員が割かれることで、フロアにいるスタッフが不在になることが増えた。利用者との関係性が目に見えて薄くなった。


日中のスタッフが何人いても、それぞれが業務に逃げて、フロアはのスタッフは不在になる。賢いスタッフほど、その傾向は顕著になる。知的障害を抱えている若いスタッフだけが、利用者に密着している。業務分担など詰まらない決めごとが理解できない彼女が、誰よりも素晴らしい仕事をしている


ズボンの着脱をふたり対応で行っている利用者に対して、風呂上がりに 「ふたりが揃うまでズボンをはくことが出来ないのは辛かろう」 と、利用者の状況に共感的な態度を示した時のみに、適切な技術の向上が図られる。心なき改善などあり得ない。


風呂場にある手すりでは、立ち上がりの際に前傾を促せないから、椅子の手すりを活用した方が良いのかもしれない。車椅子に乗ったままでは、上着の裾をキレイに下ろせないから、もう一度立ち上がってもらおうと、細部への配慮が、生活リハビリの基礎になる。


設備の問題ではなくて、ようは介護士の心の問題なのだ。心なきスタッフは、たとえ設備が目前にあったとしても、それを活用しない。


組織化が進むほどに、行うべきことが増えて、現場を見失っていく。サービスが独り歩きをし始めて、人間が抜け落ちていく


知識は増え、システムは整備されて、組織としての見映えは洗練されていく。うわべの色彩は華美だけれども、そこに住む人間の色が褪せていく。はたして何を求めているのだろうか?


一流はそれぞれに成長の方向性を定める軸を持つ。私たちは自らの軸を持たずに、軸を持った一流の上部だけを真似ようとする。それによって、あらゆる領域を併せ持ちながら、すべてが中途半端な状態が形成される。


様々な領域が発展して、複雑化している。基本に立ち戻ることが、最も革新的な改革なのかもしれない。


H23年11月  筆者 旧@yuumatan