リハビリテーション新聞: 介護施設コンサルティングの中身

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介護施設コンサルティングの中身




サービス向上委員で、利用者に向けたアンケートを作成して、実施した結果内容が届いた。なかなか手厳しい意見もあって、スタッフのショックは大きかったようだ。結果の一覧には利用者の名前は乗らずに、コメントのみが添付されていたが、それが誰の意見なのかが手に取るように分かる。


自分はいじめられていると言う意見があったが、それは当然のように思う。もちろんそれは虐待的が存在していると言うことではない。おそらく自分がいじめにあっていると解釈しているであろうその人は、ベットと車椅子の移乗の度に痛い想いをしている。


彼への適切な移乗技術が掴めないために、力業で移乗されるため、彼には強い痛みが生じる。スタッフに悪気はないのだけれども、彼への移乗介助は大変な負担を強いられるために、ため息のひとつは出るのかもしれない。


スタッフは精一杯の努力をしているが、彼はそれをいじめだと解釈する


スタッフの汗の量と、利用者の満足度が比例しないことは、専門職は冷静に受け止めるべきである。たとえ工場の生産現場で、スタッフが最大限の努力をしていたとしても、顧客の手に渡った製品が不良品では価値がない


同じように、私たちは自らが提供する技術について、その品質を確かめる必要がある。けれども、介護の現場では、ともかくサービスが提供されたかどうかの有無だけで、その品質については問われないことが多い。案外若いスタッフほどその事を理解していて、ベテランほどそれを認めたがらない。


アンケートの結果を見て、ショックを隠せないスタッフは多い。様々な領域を網羅するアンケートに対して、チームの取り組みは2つの領域のみである。それはナースコールに対する迅速さと、排泄欲求の徹底的な解消である。この2つの領域がパーフェクトたったのだから、スタッフは恥じる必要はない。


それは次の課題への移行を知らせる喜ぶべき知らせである。レクリエーションについての領域が弱いのは想定内である。生理的欲求の解消に集中するために、他の領域については触れていないからである。さて、チームの次なる課題はどのように設定するべきだろうか?


生理的欲求の徹底的な解消の基盤が完成した上で、次なる課題は、レクリエーションではなくて、リハビリテーション領域である。それはチームが築き上げた体制を変化させることなく、技術的な革新によって、質的な向上を図り、生理的欲求に、リハビリテーションという付加価値を増大させることてある。


日常的に行われている生活動作の質の拡大。それはスタッフの介護技術の革新であり、自立支援を支える環境面の再検討である。既存のトイレの手すりでは、立ち上がりの際に前傾を促せない。それを解決するためには手すりの位置を変えるべきなのか?それとも前にテーブルを置くべきなのか?


ベットサイドに座って着替えをする利用者がいて、立位が不安定でどうしてもズボンの上げ下げができない。それならば、前に椅子を置いて上げれば、手すりに掴まりながら、何とか自分で出来るようになるのではないか?


検討すべき要因は無限にある。だからこそ仕事は楽しくなる。はじめに利用者の実践がある。その実践を支える環境を整備する。そして実践があるからこそ、スタッフは利用者を心から承認して、励まし、肯定的な評価を加えることができる。それによって、利用者の自尊心は高まりを見せ、新たな課題を利用者が自ら設定するようになる。


まずは利用者の生理的な欲求に忠実になるということ。次に生活動作における質的な向上を図るということ。利用者の日常的な実践によって、肯定的な評価と承認がフロアに満ち溢れるということ。それによって、利用者とスタッフの間に、互いを高め合う良質な関係性が流れ出す。


世間があまりにも幅広く、抱えきれない領域に手を出そうとする中で、基本の徹底こそが、最も斬新なイノベーションである。


H23年12月  筆者 旧@yuumatan 


<皆さまとの意見交換>



@ryojiro76 御意。そちらは忙しそうですね。大きくなってる姿が目に浮かびます。

@yuumatan 亮次郎さんがおっしゃったことそのものが、人間の器量なんだと思います。介護士もそうですが、利用者に対して、批判的な心理が強いスタッフは伸びません。内側の壁が、自らの成長に歯止めをかけるんですね。

@ryojiro76 人を受け止めているのかどうか、自分には分かりません。悪性の心理もあるような…ただ人をあまり批判しても何も生まれてこないということは十分理解しているつもりです。それよりも、人から何かを学んだ方が得られるもんはデカイと思うのです。…時には批判もしますけどね(苦笑)