リハビリテーション新聞: 過程は奪わず結果を求めよ

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過程は奪わず結果を求めよ






経営者や管理者のみなさま。"現場の可能性を潰す方法"を知っているだろうか。わたしは知っている。「手段を指定しすぎること」だ。現場が、操り人形になった時点で、現場は潰れる。今日はこの話題に、リハビリテーションの要素を組み込んでみようと思う。



競泳選手に与える2パターンの課題がある。ひとつは、「50mはこう泳げ。」もうひとつは、「50m25秒以内、水かき20回以内で泳げ。」という課題だ。さて、競泳界全体のレベルを底上げをしたいとき、選手にどちらの課題を与えるべきだろうか


医療にあてはめてみる。「50mをこう泳げ。」という課題は、クリニカルパスやEBMに相当する。そして「50m25秒以内で泳げ。」という課題は、アウトカム評価事業に相当する。この2つの課題の違いは、過程を指定するか、結果を指定するか、という違いだ。さて、どちらがいいだろうか。


医療サービスの質の評価の歴史を調べると、最初は、医療の結果に着目したものだった。そして、1960年代には、A. Donabedianにより、構造(Structure)、過程(Process)、結果(Outcome3つの視点から評価すべきとされ、現在も用いられている。


ここでの、「構造」とは、病院設備、保険制度、医療機器、スタッフの種類や数など、医療サービス提供前から定められているもを指す。「過程」とは、提供される内容を指す。「結果」とは提供されて生じる治療結果を指す。


先進国では構造についてはほぼ満たされている。そのため、医療サービスの質を向上させようとする活動は、プロセス(過程)アプローチとアウトカム(結果)アプローチに大別される。


プロセスアプローチは、1980年代後半に主流となった、EBMやクリニカルパスだ。これは、一定の方法論に基づいて最適な治療方法を提示・提供するものであり、医療従事者にとっては何をすべきかが分かりやすい。反面、最適な治療は必ずしも最良の結果をもたらさないという問題を有する。


そこで1990年代後半以降、アウトカムアプローチに関心が移った。これは、アウトカム評価事業であり、ベンチマークの追求である。方法の如何は問題にせず「設定した臨床指標」の改善を図る。多くの病院からデータを収集し、集計して病院へ還元することで、全体として医療の質の向上する。


コーチが良かれと思う泳法を細かく指定するプロセスアプローチでは、選手の可能性を潰すことになる。オリンピックという名の最高のデータベースを用いるアウトカムアプローチこそが、競泳界を底上げする。さぁ、君の選んだ指標は、相手にどれほどの好影響を与えられるだろうか


以上、患者や現場は手段を強いられると息苦しいが、数値目標を出されれば、主体的に頑張れる。これはコーチングの核となる大切なこと。でした。


平成2574



<皆さまとの意見交換>

@fujitacycle  コレ、実感として非常によく分かります。とは言え。私も以前管理者として、手段を細かく指定していた。今は転職し、現状逆に指定される側の面(だけではないが)がある。「手段の指定は、新たな可能性を生まない」。反省材料として、今後の仕事・子育てに生かしたい。