リハビリテーション新聞: 退院支援プロセスその1 退院後の患者の生活を想定するための評価

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退院支援プロセスその1 退院後の患者の生活を想定するための評価



頭の整理のために、退院支援のプロセスの1/4を記録しておこうと思う。



病院は、患者を、追い出してはいないだろうか。
入院患者は「追い出された」 と感じることだろう。 
わかっちゃいるけど、どうにもできないでいる医療従事者は、多いのではないだろうか。
私も新人ころは、そうだった。


追い出された患者は、退院後に、どうなるのだろうか。
受け皿を求めて、さまようのがほとんどだ。


・ショートステイ
・介護老人保健施設
・特別養護老人ホーム
・老人病院
・親族宅
・本人宅 親族による介護
・本人宅 訪問介護や在宅医療の利用


言葉の意味もしらない、「素人である患者の家族」 が、必至になって情報をあつめる。そして、どうにかして生活を繋げる。家族にとっては、仕事や家事の合間に、大変なことだ。
あげく、数カ月後。 「次を探してください」 や 「もう在宅は無理です。施設は探しましょう」などと言われる。そして、また大変な思いをする。もう最低だ。


この現状をみて、問題と思わないだろうか。
入院中に、医療機関ができることはないだろうか。
リハビリテーションの担当者は、機能訓練をしておけばいいのだろうか。
なんちゃって作業をしておけばいいのだろうか。


そんなわけがないだろう。リハビリテーションをすべきである。


単刀直入に言うと、「退院後の生活に向き合え!!!」 ってことだ。
はじめっから、施設入所を前提にした計画なんて立ててほしくない。
妥協した計画ではなく、最高の計画を立てて欲しい。
つまり、入院前に住んでいた(多くは自宅)に退院することを目標に、計画を立てて欲しい。


そのために、入院初期に、以下のⅠ~Ⅲのことは評価して欲しい。
「入院前にどうしていたか」評価することで、退院後を想定できる。
また、本人からの評価が困難な場合は、知っているひとに連絡して評価する。

Ⅰ以下の動作の手段>
・屋内移動
・屋外移動
・買い物
・段差移動
・入浴
・更衣
・摂食
・トイレ
・炊事
・洗濯干し
・掃除
・ゴミ捨て
・就業
・就学
・趣味
・通い事
  
 (栄養・排泄・服薬・清潔・床ずれの評価については看護師が担当している)


<Ⅱ 家屋環境>
・住居周辺の環境(坂や階段など)
・住居のタイプ(集合住宅・戸建)
・エレベーターの有無
・トイレのタイプ(和式or洋式orその他 夜間体制)
寝具( たたみ・低ベッド・高ベッド・介護用 )
・食卓(床・イス)
・リビング(床・イス・こたつの有無)
・手すりの有無( トイレ・浴室・廊下・階段・玄関・玄関先・勝手口・他:  
・福祉用具の有無( シャワーチェアー・Pトイレ・他:     


<Ⅲ 社会背景や使用する社会資源>
・保険
・住所
・家族構成と介護力
・ 訪問系サービス
・通所系サービス 




私は、上記の3分野について、50分かけて評価する。
その結果をそのまま目標とする。
そして、次の5分で現状を評価しながら、適切なベッド環境を整備する。
最後の5分で、目標と現状のギャップと、それを埋める為にすべきことを説明する。
この時に、リハビリテーション実施計画書にサインしてもらう。
ちなみにこの60分で、疾患別リビリテーションも3単位とる。
単位をとらないほうがいいのでは?という意見には、座位で問診したのであれば、座位負荷試験・コミュニケーション試験だと言い張ればいい。


こうやることで、出会って、60分後には、目標・問題の共有と、リハビリテーション計画書が完成するのだ。
こんなに話し込んだら、患者との信頼関係も構築できる。
「そんなことまで聞くの?」と困惑されることもあるが、最終的には、頼ってくれる。



患者への初回介入がおわり、ナースステーションに帰ったら、看護師と書類作りをする。看護師が評価した、認知症スケール(HDS-R)、転倒リスク(転倒危険度)と、私が評価したADL(BI)、意欲(VI)の評価結果を、A4用紙一枚にまとめる。これを、患者に提示して、問題を共有する。こうすることで、スムーズな介入ができ、高齢者総合評価加算がとれる。


また、看護師と「退院支援計画書」も作成する。
自宅退院するための明確な目標があるので、計画をたてるのはカンタンだ。
ここでのポイントは、「絶対に以前の生活を再獲得しなくてはならない」と思わないことだ。以前の生活を再獲得できなかったら、新しい方法で生活をすればいい。


患者は、入院している間に、年もとる。また、周囲環境も変化する。以前の生活水準が再獲得できるのであれば、それにこしたことはない。でも、だめなときもある。
最初から、低い水準の目標をたてるわけにはいかない。目標が低いと、それ以上の高みには中々達することが出来ない。最初は最高の目標を立てて、ダメだったら、後日になって目標を下方修正すればいい。


これらの事を意識しながら作成した書類には、問題点や目標が記載してある。これを、患者本人や家族に配布して説明する。内容についての同意をもらっていれば、後々、話しがはやい。


最後に、ケアマネージャーさんに連絡する。
「本日、貴方様担当の~さんが当院に入院しました。この度は宜しくお願いします。在宅での状況など、情報がありましたら、ぜひご提供下さい」
担当ケアマネージャーがいない場合は、介護保険の申請から、ケアマネージャー選びまで、付き合う。


そこから、リハビリテーションが本格始動していく。
初期評価をしたおかげで、患者の生活目標が明確になっている。
チーム一丸となって、目標と現状のギャップをうめていく。


入院患者は「追い出された」 と感じさせることのないようにしたい。

入院中に、医療機関ができることは沢山ある。
リハビリテーションの担当者は、機能訓練や作業をしておけばいいのではない。
リハビリテーションをすべきである。

その為に、私が考えるのものは以下の4プロセスである。



1.初期評価
   □高齢者総合評価(100点)
   □リハビリテーション実施計画書(毎月300点)
   □疾患別リハビリテーション(1日6単位程度)
   □退院支援計画書(50点~800点)

2.リハビリテーションにより目標と現実のギャップを埋める
   □リハビリテーション実施計画書(毎月300点)
   □疾患別リハビリテーション(1日6単位程度)
   □退院前訪問調査(555点を最大2回)

3.退院前に埋まりきらなかったギャップを代償する
   □介護支援連携指導(300点を最大2回)   
   □退院時リハビリテーション指導(300点) 

4.退院後に起こる、想定外の問題を解決する
   □リハビリテーション実施計画書(毎月300点)
   □訪問リハビリテーション(1日2単位程度)
   □外来リハビリテーション(1日1~2単位程度)




今回は、「1.初期評価」 について、記載させてもらった。
2~4については、またの機会に細かく書こうと思う。



H25.11.23