リハビリテーション新聞: できるADLをしているADLにすることは長所を伸ばすこと

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できるADLをしているADLにすることは長所を伸ばすこと




リハビリテーションで、いちばんむずかしいのは、患者の問題点が沢山あるときに、患者の長所に目をむけることだろう。患者は、失ったものばかりを気にして、残っているものに目を向けることを忘れてしまいがちだ。


患者は、以前の生活を基準にして、今の生活の不便さをなげき、患者を支援する私たちは、患者の問題点を列挙する。患者の問題を明らかにすることは、大切なことだ。しかし、現状の「なにか」を足がかりに、問題を解決していくことは、もっと大切だと思う。


「攻撃は最大の防御なり」や「短所をおぎなうよりも長所をのばせ」などとよく言われるように、強みをいかして、弱みをカバーしていくことができる。こちらのほうが、欠点の穴埋めよりも、楽しいのではないだろうか。


患者の問題が沢山あるとき、患者の長所に目を向けること。いまできることを活かして、問題を解決していくこと。キレイごとに聞こえるかもしれないが、そんなに難しいことではない。


患者が高さ40cmの座面から立ち上がれないとき、問題点はいくらでも見つかる。大腿四頭筋・大殿筋の筋力不足、股関節と足関節の関節可動域制限、足底感覚鈍麻、腰部痛の逃避戦略過度、トイレ動作困難。


問題点を細かく分解できていて、すばらしい。もっと細かく分解することもできる。しかし、これを患者に説明して、地道な機能訓練を提供していくのは、いかがなものか。問題が全て解決するまでトイレにいかせてもらえないのだとしたら、患者は苦しむだろう。


私が患者ならこうしてもらいたい。「脚腰の力が弱ってるし、関節も硬いです。最近歩いてないから足の感覚も少し鈍っているように思います」それに続く言葉が大事になる。「だから、立ちやすくなるように、ベッドの高さも50cmに上げて、手でふんばれるようにバーを設置しますね」


この環境で、一度試してみる。できないのなら、もうすこし、修正してみる。患者と相談しながら、いい環境をととのえていく。その日のリハビリテーションが終わる時に「はい。これでポータブルトイレをつかってひとりでトイレにいけるね。良い運動にもなるよ」と言えたら、しめたものだ。


次の日「どうでした?」と問う。うまくいっているようであれば、一緒に喜べばいいし、問題があれば、修正すればいい。そんなことを一週間も続ければ、問題点としていたものは、かなり解消されていることだろう。長所をのばせば、短所はおぎなえるのだ。


平成25年12月4日