リハビリテーション新聞: リハビリテーション職の新人・中途採用の方に9つのお願い 1~3

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リハビリテーション職の新人・中途採用の方に9つのお願い 1~3




桜の季節。いよいよ新年度ですね。
今回は、(リハビリテーション職の) 新人・中途採用の方に9つのお願いがあります。
ちなみに、結構切実です。



1.クライアントに的外れな問題提起をしないでください。

2.能書き垂れないでください。

3.問題解決手段の提供をしてください。

4.問題をでっちあげないでください。

5.自分にしかできない仕事を増やさないでください。

6.クライアントの要望に答えすぎないでください。

7.休憩時間まで仕事の話をしないでください。

8.質問には、質問に対する答えをしてください。

9.忙しそうにしないでください。




お願いですから、守ってください。
守ってもらわないと、困ります。
詳しく、説明させてください。


1.クライアントに的外れな問題提起をしないでください。


これは、一番大事です。クライエントの生活も知らないまま、問題提起をするのなら、クライエントに近づいてほしくありません。 クライエントから「膝が痛い」という相談があったとき、いきなりベッドに寝かせて、評価するのなら、十中八九、失敗します。 


「膝のお皿が硬いですね。太ももの筋肉が細いですね。ここ大腿四頭筋って言うんですが、膝を一番伸ばした時に、カクカクシカジカ」 はい! ダメです!! 問題をそこに設定しても、いいことはありません。論点が間違っていますから、その後、何をしようが、的外れです。


それでは、論点はどこでしょうか。 ”生活”です。 ICFでいうと”活動/活動制限”です。 「膝が痛い」という相談があったとき、いきなりベッドに寝かせて、身体を評価をすると、”身体”が論点になってしまいがちです。 これが、的外れな問題提起のもとです。  「膝が痛い」と相談があったとき、生活への影響を評価しましょう。問診です。


「いつ痛いでのすか?」、「その動作をしてもらっていいですか?」、「あら、今は痛みがでませんか。それならちょっと難易度をあげた動作で検査させてください」 このように、まずは、全体像を知る為に、サクッと情報を集めましょう。そして、その場で、問題を再現できる検査をしましょう。 


最終的にこう言えたらいいと思います。「階段を下りる時、後に残る側の膝が痛いのですね。そして、坂道を下る時も痛いのですね


これが、的外れではない問題提起です。クライエントが表現できなかった、”本当の問題”です。 ここまできたら、はじめて、身体の問題点を自分の中で整理・統合し、仮説をたてましょう。 例えば、①降段の後脚で、股関節の屈曲消失、②そもそも立位姿勢や膝立ち位の時点で骨盤後傾あり など。 


そこから、治療戦略をたて、仮説検証を繰り返しましょう。 治療の効果判定指標は、”階段を下りる時の膝の痛み”です。 それ以外の指標(ROMや姿勢など)は、こちらが定めた一方的な問題であり、クライエントにとっては、どうでもいいことです。


2.能書き垂れないでください。


これは、1 に似ています。 ”生活の問題”について、話してもいないのに、”身体の問題” の話しをされても、わけがわかりません。 いきなり  「あの~、Aさんって、右立脚終期の右寛骨の前傾がありませんよね。仙腸関節も動いてないし、AKAをしたほうが良いと思うんですよね。そもそも外側フレアなんです。どうおもいますか」 と、相談されても困ります。 


何を解決したいのですか? ハウツー本に書いてあった、指標をクライエントに当てはめているのですか? 実技講習でカリスマから習ったから、それをクライエントに試してみるのですか。 あぁ。ため息が出ます。


そんなものを、追い求めてもいいことはありません。 貴方が、たまたま知った、治療戦略や手技を、偉そうに語っても、周囲は、残念に思います。 こんなものが論点になる場面はすごく限定的です。どんな場面かと言いますと、「生活の問題の解決するために、治療戦略を立て、仮説検証を繰り返しても、生活の問題が解決しない場合、担当療法士のメイン担当、サブ担当の会話」といった場面です。


貴方の”能書き”を傾聴できるほど、先輩は優しくないでしょう。貴方が、能書きを垂れれば垂れるほど、”ピントはずれ””出来ない奴”の烙印を押されます。もったいないですね。能書き垂れる暇があったら、クライエントの生活をみましょう。治療戦略を立てましょう。世の中に無数にある、問題解決手段なかから、有効と思われるものを選択して、サクッと検証しましょう。


能書き垂れるのは、結果を出して、解説を、他人から、求められた時だけで充分です。



3.問題解決手段の提供をしてください。


「車いすに座っていると、お尻が前にズレて、お尻に傷ができるんです」と相談があったら、それを解決しましょう。つまり、解決するものは2つです。①車いす乗車中の姿勢の崩れ、②仙骨部の床ずれ です。


しかし、①と②は関係ないかもしれません。 そこで、全体像を把握する必要があります。とにかく評価です。 クライエントの生活を見渡して、他に②の原因になるような負荷がないのなら、①と②を結び付ける事は妥当です。ここで、はじめて、治療戦略が立ちます。ただし、ただの仮説にすぎません。 


とにかく、相談のあった問題を解決することが、貴方の仕事です。「股関節が屈曲しないからズレを治すのは難しい」、「脊柱が右凸変形していて、右殿部に体重が集中する」などと、姿勢の改善が難しい理由を、偉そうに発言しても、問題は解決しませんどのように問題を解決するか。そこが重要です。


解決手段として、機能改善を図ってもいいと思います。環境因子を調整してもいいと思います。ただ、目の前の問題を解決できないまま、地道な機能改善を図っても、効率が悪いです。 


まずは、環境因子を調整して、足りない機能を代償しましょう。そうすれば、目の前の問題を解決できますので、効率的と言えます。 地道な機能改善は、それからです。しかも、時間と予算に余裕があるときだけです。


ところで、①の問題 (車いす乗車中での姿勢の崩れ)を解決する手段をどれだけ、思いつきますか。たくさんありますよ。


環境因子の調整を上げますと・・・
座席のシートカバーの生地の変更、座席のクッションの素材変更、座席のクッションの厚さ変更、座席のクッションのアンカー形状の変更、チルト機能活用、リクライニング機能の制限、フットサポートの高さ調整、アームサポートの形状変更、バックサポートの張り調整ベルト変更、ラテラルガードの増設、ハンドリムの位置変更による駆動動作の改善、 他にもいくらでもあります。


問題 (車いす乗車中での姿勢の崩れ)を、解決しうる手段を選択し、その後の効果を検証するために、モニタリングをします。 貴方が選択した手段により、多かれ少なかれ、反応があります。 それが、”問題解決”という反応ならば、いいのです。 


ここで、重要になるのが、この仮説検証プロセスの回転を高速で回すことです。 1つの仮説をたて、それを検証するのに、1週間もかかっていては、頼りになりません。 いきなり問題を解決できなくてもかまいません。だめだと思ったら、次の仮説に移るべきですし、とにかく、問題が解決するなら、何でもいいのです。


出来ない理由はいりません。 問題を解決して下さい。仮説検証を高速で反復してください。 それが貴方の問題解決能力を高めて行きます。そして、他部門から、クレームのでない、自慢のチームメイトになれます。



新人・中途採用の方に9つのお願い  続き(4~9)はまた次の機会に説明させてください。



平成27年3月27日
Masaki Kimura