リハビリテーション新聞: リハビリテーション評価 トップダウンとボトムアップ プロセスの特徴

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リハビリテーション評価 トップダウンとボトムアップ プロセスの特徴



リハビリテーション新聞にたどり着く、検索ワードの上位として、「ボトムアップ トップダウン リハビリ」というものがある。私自身も、学生の頃、このワードは関心事であった。



ただ、過去、リハビリテーション新聞で、訪問者が求めているであろう 「評価」 としてのボトムアップと、トップダウンを記事にしたことはない。問題解決プロセスとしての記事が存在するだけだ。



そこで今回、理学療法、作業療法の「評価」プロセスの一分類としての、ボトムアップとトップダウンを、記事にする。



私が学生の頃ならった内容といえば・・・

ボトムアップ
 心身機能の評価から、介入すべき問題をみつけ

トップダウン
 活動(生活)の評価から、介入すべき問題をみつける



多くの学生は、ボトムアップ評価となる。なぜなら、学校で習ったさまざまな評価方法を、まずは実際の患者・利用者に適応するしかないからだ。 



関節可動域・筋力・脚長・脳神経・認知症・痛みなど、定番の評価を一通りする評価の優先度がわからず、あらゆる評価をすることとなるため、莫大な量の評価結果をレポートにあげることとなる。


それにもかかわらず、解決すべき活動制限(生活の問題)がわからない。 焦って、さらに情報をあつめても、評価結果が増えて、レポートが分厚くなっていくだけだ。 私の場合、評価のための評価をして、実習がおわってしまった。



つぎに、トップダウンの評価プロセス。多くの有資格者が、トップダウン評価となる。これは、”活動(生活)の評価から、介入すべき問題をみける” 評価だ。トップダウンの評価プロセスであれば、多くの評価項目を省略することができる。



例えば、「イスからの起立動作が難しい」 との訴えがあった場合、評価すべき項目は限られる。 ボトムアップ評価しかできなかった学生時代のように、あらゆる評価をすることはない。



「イスからの起立動作が難しい」との訴えの原因を考え、自分なりに仮説をたてて、欲しい情報を得るための評価を、すればよい。 仮説を検証したところ、間違っていれば、次の仮説を立てて、次の評価にうつる。問題が解決するまで、この繰り返しだ。



トップダウンの評価プロセスに慣れてくれば、仮説・検証の精度が向上してくるため、目の前の患者の訴えを、すぐに軽減することができる。



ただし、時々、落とし穴がある。 「基本的なことを見落とす」 ミスだ。 例えば、「肩が痛い」との訴えがあったとき、トップダウンのプロセスで評価をすると、手首の関節可動域テストを省くことがある。



このまま「肩の痛み」と向き合い、数か月間、仮説検証を繰り返しても、痛みが、改善しなかったことがある。 仮説の”引き出し” が尽き始め、非常にマニアックな仮説までたち始めたころ、ふとしたことから、手首の可動域制限をみつけてしまった



この情報は、仮説を立てるための材料となる。いままで、この情報なして、仮説を立てていたため、この情報1つで、仮説形成の構図がガラッとかわる



ここではじめて、「特定の動作時、手首の関節可動域制限から、肩の過用が生じている」 という初歩的な仮説が立つ。 そして、検証すると、案の定、ヒット。 右肩の痛みの改善となる。 



ここから、得た教訓は、 「トップダウンの評価プロセスは、”重要と思われる評価項目以外” の評価も、簡易的にすべき」 というものだ。 関節可動域テストであれば、わざわざ角度計をあてずに、簡易的に確認することを指す。




これまでのまとめ

 ・ボトムアップ評価は効率が悪い。
 ・仮説なきものにトップダウン評価は難しい。
 ・トップダウン評価での問題解決プロセスを積み、仮説検証の精度が高まる。
 ・トップダウン評価は抜けがある。
 ・あらゆる評価結果は仮説の材料となる。
 ・トップダウン評価の抜けを補完するものは、浅くて広い簡易的な評価。




患者・利用者の問題解決経験のない学生に、トップダウンは難しい。学生はボトムアップをしておけばいいと思う。 トップダウンができたとしても、「指導者と一緒に解決すべき問題を設定して、大切な評価項目をリストアップする」 程度のことではなかろうか。修行あるのみ。




平成27年9月6日
筆者 Masaki Kimura