リハビリテーション新聞: セラピストとして腕がどんどんあがる 「訴えの再現」 について

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セラピストとして腕がどんどんあがる 「訴えの再現」 について



セラピストのみなさま。 患者から、何かしらの訴えがあったとき、目の前で訴えを再現していますか? 


「訴えの再現」を、やっている方もいるでしょうが、やっていない方も、多いと思います。私自身、新人のころは、やっていませんでした。 



そもそも、「訴えの再現」が、何のことかわからない方もいるかもしれません。今回は「訴えの再現」について述べてみたいと思います。




例えば、目の前の患者・利用者が「膝が痛い」と訴えるのです。 そこで、どんな評価をしますか? 





炎症症状

膝関節可動域

膝関節動揺性

下肢筋力

形態

歩行分析

片脚立位保持時間




まぁ。いろいろありますね。情報が多いほど、仮説検証の材料が増えますから、全ての評価をやっても、いいと思います。しかし、ある評価を抜いてしまうと、治療プロセスが根本から破綻してしまいます。


それが、「訴えの再現」です。





目の前の患者・利用者は、どんな時に 「膝が痛い」 のでしょうか? 問診をして「歩くときに痛いんです」 だけでは不十分です。それでは、何も再現できていません。 


いま、目の前で歩いてもらって、その痛みはでますか? でませんか?






<目の前で歩いてもらって、痛みが出る場合>

 どこで痛みがでますか? 踵とついたときですか? 上体が膝の真上にくるときですか? つま先でけりだすときですか? 仮に上体が膝の真上にくるときに痛みがでるのであれば、その時に、なにかしら異常はありませんか? 


例えば、支持側の足部は足底外側荷重になっていませんか? 膝関節は内反していませんか? 支持側の股関節は過度に外転していませんか? 他にも観察ポイントは沢山あります。







<目の前で歩いてもらって、痛みがでない場合>

 患者・利用者は、「歩くときに痛いんです」 と言っているのに、なぜ痛みがでないのでしょうか? 問診の継続です。  すると 「長時間、歩いたら痛い」、「買い物袋をもっていると痛い」、「朝一番の歩き始めに痛い」 などと、状況の詳細を、知ることができるでしょう。 


さぁ。 目の前で、痛みを 「再現」 するために、なにをしましょうか。


答えは 「負荷」 をかけることです。負荷テストです。 膝関節に負荷をかける例として、片足立ち、大股歩き、極端に大きな1歩、荷物を持つ、ジャンプ、片足ジャンプ、階段、 脊柱や股関節の姿勢に条件をつけた課題など、いくらでも考えられます。


もし痛みを「再現」できないのであれば、特殊な病態を意味すると思ってよいでしょう。ほとんどの場合は、負荷をあげれば、膝の痛みを 「再現」 できます。 その再現できた瞬間こそ、詳細に評価すべき瞬間です。 上記の <目の前で歩いてもらって、痛みが出る場合> のように、詳細に評価をします。



ざっとですが、「訴えの再現」 とは、このようなことです。  「再現」 できたからこそ、 「再現」 できた痛みを、いか消すか。 そう考えられるのです。 



別の表現をしますと、「訴えを再現」 することで、「効果判定」 が、できます。仮説・検証が、できます。 先述したように、この評価を抜いてしまうと、治療プロセスが根本から破綻してしまいます。



今回は、例として”痛み”を扱いましたが、他の機能障害や活動制限でも、同様に 「訴えの再現」ができます。そして、「再現できた訴え」 を、消すために、様々な仮説が立ちます。 様々な仮説へのアプローチがあります。 これについての引き出しは、①目の前の患者・利用者の問題を解決するほど、②巷にあふれる知識・技術を学ぶほど に増えていきます。


このプロセスに沿っているだけで、療法士として腕がどんどんあがることでしょう。 仮説検証の精度が高まり、目の前の患者の訴えを、すぐに軽減できるようになるのです。


もしよかったら、試してみてください。



平成27年9月8
筆者 Masaki Kimura