リハビリテーション新聞: メーカー・業者は 非常に高度なリハビリテーションを提供している

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メーカー・業者は 非常に高度なリハビリテーションを提供している



リハビリテーションの仕事をしていると、メーカー(生産者)や、業者(商人)の方と、仕事をすることがあると思います。



私は、彼らを尊敬しています。 学療法士や作業療法士よりも、本質的なリハビリテーションを提供してくれます。



それは、「環境因子」 の調整です。 



今回は、例を3つ述べます。





--- 例1 ---
業者は、左下肢しか動かない50歳代女性に、パソコンを売りました。
クリック1つで、すべての操作ができるソフトを入れて、こまかい設定をしました。
女性は、パソコンで、Eメールのやり取りや、YouTube鑑賞ができるようになりました。



業者は、環境因子へアプローチして、活動制限を解決したのです。



業者は、女性にパソコンを売って、パソコンの設定をしたのではありません。
Eメールのやり取りや、YouTube鑑賞を希望しているのに、できないという問題を抱えている女性に、その解決手段を提供したのです。



業者は、1つのプロジェクトに取り組み。 見事に、解決手段を提供してくれました。 自分に依存させることもなく、見事に権限委譲(エンパワメント)をして、去っていきました。




本質的なリハビリテーションですね。





--- 例2 ---
メーカーは、第4頸髄損傷の30歳代男性に、電動車いすを売りました。
左肩はわずか動き、肘~指は動かない状況で、左手で電動車いすを操作するのです。そのために、コントローラーの位置は、ミリ単位で調整してくれました。
何度も、仮説・検証の繰り返しです。
コントローラーの形状や摩擦、肘~指を固定するための装具さえも整え、見事に、電動車いすの操作を可能にしてくれました。




業者は、環境因子へアプローチして、活動制限を解決したのです。



業者は、男性に電動車いすを売って、電動車いすの設定をしたのではありません。
移動ができずに、様々な活動参加機会を喪失している問題を抱えている男性に、その解決手段を提供したのです。



業者は、1つのプロジェクトに取り組み。 見事に、解決手段を提供してくれました。 自分に依存させることもなく、見事に権限委譲(エンパワメント)をして、去っていきました。





本質的なリハビリテーションですね。






--- 例3 ---
メーカーは、脳幹梗塞後に寝たきりになった男性に、クッションを売りました。
ベッド上で、変形がすすみ、頻回に傷ができる状況です。
自動体位変換機能つきの電動エアマットでも解決出来ない問題でした。
それを、クッション1つで、見事に解決したのです。



まず、メーカーは、関係者との協議をして、コーディネーターをやってくれました。
だからこそ、主介護者の要望 「よく汚れるから、洗いやすいようにしてほしい」 、「むれると皮膚トラブルが多いからムレないようにしてほしい」 を洗い出せたのです。


完成するまでに、デモ機で3回の試験がありました。
生活の中で、デモ機を使用することで、様々な反応がありました。
その結果、いいクッションが完成するのです。
クッションの厚み、硬さ、中身の素材、カバーの素材。すべてが考え抜かれています



業者は、環境因子へアプローチして、活動制限を解決したのです。



業者は、男性にクッションを売って、クッションの設定をしたのではありません。
ベッド上の臥位姿勢が安楽ではなく、マズローの基本的な欲求さえもみたされない問題を抱えている男性に、その解決手段を提供したのです。



業者は、1つのプロジェクトに取り組み。 見事に、解決手段を提供してくれました。 自分に依存させることもなく、見事に権限委譲(エンパワメント)をして、去っていきました。




本質的なリハビリテーションですね。





不本意にも、自分に依存させてしまうリハビリテーション職がいます。
終わりのない、機能介入をして、自分の仕事を確保するリハビリテーション職がいます。
自分がいなければ、者・利用者の生活が破綻してしまう体制をつくってしまうリハビリテーション職がいます。




一方、メーカー・業者は、自分がリハビリテーションを提供していることに、気が付いていないケースがあります。 



私からみれば、彼らは、自分に依存させることもなく、権限委譲(エンパワメント)をして、去っていく、非常に高度なリハビリテーションを、提供しています。




平成27年10月12日
筆者 Masaki Kimura