リハビリテーション新聞: セラピストの 「ムズかしいことに取り組んでいる自分すごいアピール」 を矯正する方法

ページ

セラピストの 「ムズかしいことに取り組んでいる自分すごいアピール」 を矯正する方法


雨の日。 入所者Aさん の家族が、面会に訪れた。
そして、男女の作業療法士に、相談した。

「うちの弟は、一日中、テレビの前でボ~っとしている。声をかけても反応しない。 ケアハウスに居たころは、100マス計算をしたり、人と話すことが、好きだったんですが・・・。どうにかなりませんか?




男性の作業療法士が返事をする。

「はい。確かに、Aさんは、ここ2週間ほど、そういう傾向があります。 表情も暗いですね。私たちが、活動の受け皿にはなれます。誘導して様子をみますね」




家族。

「お願いします。助かります。書くことは難しいですが、読みと会話は得意です。」





男女の作業療法士。

「わかりました」





女性の作業療法士 が、男性の作業療法士に、言う。

「この記録は、私がしておきます」





次の日、女性の作業療法士の記録(電子カルテ)が、問題となる。

「利用者Aさんは、なぜ活動しないのか。嫌なことがあったのではないか。嫌いな人物がいるのではないか。いろいろな可能性を加味する必要がある。また、利用者Aさんは、読みと書きの能力に乖離がある。人生経験を評価する必要がある」

 というものであった。






周囲の人たちは、言う。

「意味がわからない」



そして、記録すべき内容を、口にする。

本来、次のような記録をすべきであった




「家族より、『声をかけても反応しない』 との相談あり。 状況確認すると、1日中 テレビをみて過ごしており、他職員も気にしていた。 以前は、脳活問題や、会話をして過ごしていたとのこと。 対応として、作業療法で活動ができるように誘導することとなる」





この記録であれば、周囲に伝わる
最低限 共有すべき情報が、記載されているからだ。






女性の作業療法士が書いた内容は
 ①なぜ活動しないのか?
 ②適切な作業課題はなにか?
というものであり、そんなものは、記録の第一選択には、ならない。


とにかく、ツッコミどころが、多い。


まず、作業療法の場に誘導すべき。すんなり活動が生まれるかもしれない。
・この内容は、頭の中で仮説・検証をまわせばよい。
・この内容は、作業療法チームの中で協議すべきものである。
・今回の内容を、どうしても発信したいのであれば、最低限、共有すべき情報を記載したにすべき。






そう。女性のほうの作業療法士は、伝え方が下手なのだ。

いつも、言葉のキャッチボールができない。

2~3手先の返事をしてしまう。 

そのせいで、ものすごく損をしている





周囲からの評判は・・・



「何をしているのかわからない」



「いつも勝手に話をすすめる」



「得意げに何かを語るけど、聞きたくもない」



「仮説ばかりをかたり、結果をださない」






今回は、極端な例をだしたが、これは ”あるある話” だ。



他にも1例、簡単な例を出すと、医療介護連携の退院調整会議で、理学療法士が言う。

「股関節屈曲可動域が・・・ 骨盤が・・・ 筋力が・・・」



本当に残念だ。
多くの療法士から感じる ”難しいことに取り組んでいる自分すごいアピール” は、減らしたほうがいい。


それは、自分の向き合っている専門的な問題を、公に披露したり、求められていない解説を、専門用語ですることだ。



これらは、大問題だ。 
周囲に伝わらない働きに、価値はあるのか?
社会から必要とされるのか?




もっと、わかりやすくすれば、活躍できるのに・・・。
モッタイナイ。


平成27年11月7
筆者 Masaki Kimura