リハビリテーション新聞: 20分2000円のセラピストと、30秒で100万ドルのピカソ

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20分2000円のセラピストと、30秒で100万ドルのピカソ



画像引用 https://pixabay.com/


こんばんは。平成29年9月4日月曜日。昨日、町内会の地域清掃や、神社の秋祭りの準備がありました。私は、町内会220世帯の秋祭りの主担当になっており、神主代行者の抜擢や、寄付金の集金、ハッピの準備、おみこしの経路づくりや、打ち上げの準備などを調整しています。とは言っても、多くの権限や15万円の予算は、実行部隊に委ねており、進捗状況の確認や、全体の整合性を保つための調整をしているだけです。




さて、いま、町内の話題は、米の収穫です。近所に住むトラック運転手の中年男性はいいます。「この時期は、農家から農協に米を運ぶ仕事ばっかりだよ。ただトラックで運ぶんじゃなくて、30kgの米を20~30袋をトラックにのせるところからはじまって、農協についたら、おろさないといけなからね。大変だよ。それなのに1便あたり5,000円~10,000円だからね・・・」




このご時世、どこの業界も大変なようです。
この出来事を通して、私は、ピカソの有名な話を思い出しました。



ピカソが、ファンに「絵を描いてくれませんか?」と頼まれた時、30秒で書いた絵を 「100万ドルです」 といって請求したという話です。

ファンは、「ちょっと待ってください、30秒で書いた絵に100万ドルなんて・・・」
対してピカソは「30年と30秒ですよ」と答えたらしいのです。





セラピスト、トラック運転手からみたら、目玉が飛び出すような話ですね。
現実感がありません。


しかも、ピカソは、92年の生涯で147,800点もの作品を残したとされます。
計算すると1日に4.4枚です。。。

作品をつくれば、つくったぶんだけ、商売パートナーを通じて売りさばけるシステムを構築していたというのです。すごいですね。




この話をきいた、セラピストの多くは、ため息がでることでしょう。
「はあ・・・俺のリハビリテーションなんて、20分で2,000円じゃないか!」
「はあ・・・俺のリハビリテーションは、30年と20分かかっているから100万円です!なんて言えねえ!」
「はあ・・・俺の商売のパートナーは会社で、会社がなければ自分のサービスを提供する舞台もねえぞ」
といった具合にです。






さて、ここまでは、前置きです。





今回は、セラピストにまつわるお金の話しをします。
介護保険や障害福祉のリハビリテーションは、ドンブリ勘定の傾向が強く計算しにくいので、わかりやすい医療保険を例にだします。


医療保険のセラピスト 年商 800万円~1200万円


医療保険のセラピストは20分を1単位として、一日17~22単位働くことが多いです。
年間なら、4000~4500単位ほど働く計算になります。
1単位の診療報酬単価は、おおよそ800円~3,700円。中央値は2,000円といったところです。
なぜここまで、ばらつきがあるかというと、いろいろな条件(施設規模・体制・入院期間・自賠責・労災保険・疾患名・患部の場所) により、1単位の価値が変わるからです。



加えて、様々なことで、追加報酬を得ることができます。
書類を作成したり、評価や会議をおこなったときに診療報酬が発生します。
例をあげると
・リハビリテーション実施計画書 患者1人あたり毎月3,000円。
・入院患者の退院前後に家屋環境を評価。1回 5,800円。
・介護業界との会議。1回 4,000円。
・退院する患者になにか指導する。3,000円。
・そのほか、既得権団体の研修をうければ、請求できるようになるマニアックなものが沢山あります。



そして、セラピスト1人が年間を通して、生み出せる診療報酬が、800万円~1200万円程度になります。
この診療報酬が病院経営者に入り、ピンハネされたものが、セラピストの給料になるわけです。




ここまでの医療保険のセラピストの話しを聞いて、
「おお!すごいじゃん!」と思うのなら、冒頭のピカソの話しを思い出してみてください。




30秒で100万ドルのピカソ。
1年で1000万円のセラピスト。



やっぱり、ため息がでるのではないでしょうか。



続きまして、セラピストの美味しい話を、2例あげようと思います。




美味しい話1 介護保険での訪問リハビリテーション 年商1600万円




まずセラピストの美味しい話1例目です。
介護保険での訪問リハビリテーション(看護7)です。
平成12年からの24年までの12年間は天国でした。
『30分以上60分未満』(つまり30分)のサービスを提供して。830単位(8,300円)。
べらぼうに高いのです。
なんと1日4件訪問するだけで、採算があってしまいます。
月間収益を計算すると、8300円×4件×20日 で 664,000円/月。
年間収益を計算すると、7,968,000円/年。
簡単にいうと
毎日1件訪問する年間200万円。
毎日2件なら400万円。
毎日3件なら600万円。
毎日4件なら800万円。
毎日5件なら1,000万円。
毎日6件なら1,200万円。
毎日7件なら1,400万円。
毎日8件なら1,600万円。


うん。美味しいですね。しかも、訪問リハビリテーションなら、箱物がいらないし
小規模の組織であることが多いわけです。

故に、ピンハネされる率が、少なく、高給の求人が多かったのです。
いまでも、訪問リハビリテーションには、その傾向があります。


この古き良き時代のセラピストの話しを聞いて、
「おお!すごいじゃん!」と思うのなら、冒頭のピカソの話しを思い出してみてください。



ん~、30秒で100万ドルのピカソ。
1年で1,600万円のセラピスト。



凄い差ですね。






美味しい話2 労災病院のセラピスト 年商1700万円



続いて、セラピストの美味しい話2例目です。

いまでも美味しいのは、労災保険を集中的にあつかっている労災病院です。


例として、上腕骨を骨折した入院患者にリハビリテーションを提供すれば、
20分1単位で3,780円。
40分2単位なら7,560円。
60分3単位なら11,340円。


超おいしいですね。


内訳はこうです。
20分1単位で190点(1,900円)。まずはこれが基本。
ここから四肢加算として×1.5できる。190×1.5= 285(2,850円)
そして、ADL加算として+30点。285+30=315(3,150円)
そして、通常、診療報酬1点の単価は10円なのだが、労災保険は12円。
3,150×1.2=3780(円)


労災保険の患者を集中的にあつかっている労災病院は、ほぼ全例がこの美味しい患者なので、超おいしいわけです。


計算してみると、一般的なセラピストが1年間に、4000~4500単位ほど働いているのですが、これを、労災病院に適用すると、年間の報酬は1,500万~1,700万円。


おいしいですね~!


しかも、労災保険の患者からの謝礼は、5~10万円がザラなのです。
これを毎月2~5人からもらっているセラピストが沢山いると聞いたときには、マジでびびりました。




とは言っても、冒頭のピカソの話しを思い出してみてください。
30秒で100万ドルのピカソ。
1年で1,700万円のセラピスト。



差を感じますね~。




理学療法士・作業療法士の「求人」をみても好条件には限界がある




セラピストが20分いくらでサービスを提供しているうちは、好条件をさがしても、この程度なわけです




さぁ、どうしましょう。 
・リハビリテーション実施計画書を5分で作成して3,000円もらいますか?
・ピンハネが少ない訪問リハビリテーションに引っ越しますか?
・謝礼の多い労災病院に就職しますか?
・ドンブリ勘定の傾向が強い介護保険や障害福祉の現場に引っ越しますか?
・公務員セラピストになりますか?
・診療報酬について勉強しまくって、管理職になり、多くの後輩をコマのようにつかい、ピンハネする立場になりますか?




なんか、夢がないですね~。


もっとワクワクするような夢のある話ってなんでしょうか。
もしよかったら、考えてみてください。




平成29年9月4日
筆者 Masaki Kimura