リハビリテーション新聞: あなたは望む? 「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない」介護

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あなたは望む? 「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない」介護


画像引用 https://pixabay.com/


おはようございます。平成29年9月21日木曜日。 先日、町内会の活動をしていると、井上さん(70歳男性)が言いました。 「昨日、歴史の授業で、6年生を山頂の神社につれていったんだよ。そしたら、すごく疲れた。去年までは平気だったんだけどね」。 井上さんは、地域の歴史を研究をしており、小学校の外部講師でもあります。


私も、井上さんからは多くのことを学びます。道端の石が、実は石碑であり、昔あった川の氾濫による、水害の目印であることなどが学べます。



私の生活圏に、私の知らないことが沢山あります。
そもそも、石碑ってなに?というところから、始まりました。



石碑 - Wikipedia  石碑(せきひ、英語: stele, stela)とは、人類が何らかの目的をもって銘文(碑文ともいう)を刻んで建立した石の総称。「 碑(いしぶみ)」ともいう。


さて、このような出来事を通して、感じたことは、 「文化の伝承」 です。



「文化の伝承」はできているか?


私たちは、2,3世代のうちに、先代の文化の多くを捨ててしまっています。
私自身、若いころは、親の言うことも聞かずに、TVや雑誌に影響されて、生活スタイルを決めていました。



このことについて、別に問題に感じていませんでしたが、2つの経験を通して、考えが変わりました。

これから紹介します。



経験1 三島由紀夫の記事をみた


まず、作家 三島由紀夫が、昭和45年にサンケイ新聞に寄稿した記事をみたことです。

「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう」 


まさに、いまの日本のことだと思いました。私も、私の多くの友人たちも、親の言うことも聞かずに、TVや雑誌に影響されて、生活スタイルを決めていました。みんな、同様の生活スタイルで、価値観も似たようなものでした。いま思うと、とても、キモチの悪ことです。情報発信者により、生活スタイルを操作され、それが文化となるのですから・・・。




経験2 仕事を通してみてきた「家族」


次に、仕事を通した経験ですが、「 家族も地域もバラバラ。」  という状況を沢山みてきました。患者・利用者の家族や、退院後・退所後の地域をみて、多くのケースで、そう感じるのです。


1例をあげます。


https://twitter.com/2008pt/status/392249389906817024








要介護者が、家族と一緒にいる選択をすれば、「有機的で、充実した、個性的な、変化に富んだ、経済的な、ツッコミ所の多いネタに困らない生活」 になるケースも多いのですが、選択をする人は、多くありません。



一方で家族と一緒にいない選択をするならば、一番楽なのは 「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない」 生活だと思います。そのような生活をおくるため 「安心・安全な生活を提供します」という事業者に、お任せすることになるでしょう。 お金稼ぎをする人たちとは仲良くできますが、家族とは”無縁” になりがちです。




社会保障費が膨れ上がるわけです。
この状況、持続しません。




課題


さて、このような社会情勢の中、多くの人々が取り組んでいることが、「まちづくり」や「コミュニティ再生」です。




人類が何らかの目的をもって銘文(碑文ともいう)を刻んで建立した石のように、日本の暮らし・文化にも「コミュニティの維持」という目的がありました。 しかし、日本の暮らし・文化を変えたことで 「コミュニティの維持」の機能が低下してしまいました。不意だったかもしれませんし、誰かが操作したことかもしれません。



どちらにせよ、問題を感じている人たちは「まちづくり」や「コミュニティ再生」に取り組んでいます。そして、これは、リハビリテーション業界が探している、不足しているピースでもあります。昔の生活スタイルに戻り、文化を取り戻すのではなく、いまの生活にあった形で、失われた機能を補完しなければなりません。




冒頭に紹介した、町内会の井上さん(70歳男性)は、何を願っているのでしょう。歴史の授業を受けている小学6年生に、何を期待しているのでしょう。


もしよかったら、考えてみてください。



平成29年9月21日
筆者 Masaki Kimura